白燐弾の危険性を認めた米国軍事シンクタンク

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1052141859&owner_id=12631570

白燐弾の効果について、風棲さんがとても素晴らしい資料を提供してくれました。米国の軍事シンクタンク「グローバル・セキュリティ」の記事です。

Generally, treatment of WP smoke irritation is unnecessary. Spontaneous recovery is rapid.
http://www.globalsecurity.org/military/systems/munitions/wp.htm

これは白燐弾の無害性をアピールするサイトに好んで引用されている記事みたいです。でもどこでも記事の2~3行しか引用していません。

>Casualties from WP smoke have not occurred in combat operations.
WP(白リン)煙による戦死者はない。

>There are no reported deaths resulting from exposure to phosphorus smokes.
白リン煙に晒された状態が原因だと報告された死亡例はない。

>Generally, treatment of WP smoke irritation is unnecessary. Spontaneous recovery is rapid.
一般に、WP煙による痛みの治療は不必要。自発的回復は迅速だ。

ところがそういう記述のすぐ前には、こんな文章があります。

Exposure to heavy smoke concentrations for extended periods (particularly if near the source of emission) may cause illness or even death.
>長期間(特に放出の源の近くで)の集中した(白燐の)煙幕への露出は病気か死さえ引き起こすかもしれない。

こういう所をこそ引用してほしいものですね。

煙幕弾は撤退のさいに使用するか、煙が薄まってからそこに至るかですから、通常の使い方ならば味方兵士に害はありません。

そこで最初に紹介した文章になるわけです。

しかしそれを投射される市民側はどうでしょう。すばやく逃げたいけど、頭上からは次々に白燐弾が撃ち込まれます。(そういう映像がありますね)結果として「長期間(特に放出の源の近くで)の集中した(白燐の)煙幕への露出」が不可避な場合もありますよね。するとそれは「病気か死さえ引き起こすかもしれない」ではありませんか。

つづく項には、こんな記述があります。

WPの白熱した破片は広範囲の熱傷を発生させるおそれがある。皮膚についたリンの火傷は、深くて、苦痛だ。堅い傷痕が生まれ、水疱に囲まれる。通常、火傷は複数であり、深く、色々なサイズがある。・・・空気中の酸素が奪われない場合、破片は燃え続ける。これらの粒子との接触は局所火傷を引き起こす場合がある。黄リンが見えなくなるまで燃え続けているので、これらの兵器は特に不快だ。兵士が黄リンの破片で打たれた場合、それはまさしく骨まで燃えるかもしれない。

黄リンのもたらす化学的火傷損傷は苦痛である。火傷した結果、壊死部分は黄ばみ、独特のニンニク臭がする。黄リンは、非常に脂質に溶けやすく、破片がいったん体内に埋まると急速に皮膚に浸透すると考えられている。高い脂溶性のために負傷の治癒が遅れると信じられているが、よく研究されていない。

なんという恐ろしい兵器でしょうか。私がこれまで書いていたことが、まさしく裏付けられています。これでも白燐弾は無害だと言えるのでしょうか?

<参考>

「グローバル・セキュリティ」の記事には私も時々お世話になっていますが、その正確性は驚くべきものです。

一例を挙げれば、例のテポドン騒ぎです。テポドンが北海道沖に着水したと日本中が大騒ぎしていたとき、発射の翌日には「実験失敗」と速報していたのです。ろくに飛ばずに落ちたと書いているので、国内報道とどちらを信用すればいいのか迷った思い出があります。

一週間後には「テポドンのノーズコーンが分解し、それが引き金となって空中分解した」との詳細な分析を発表していました。その後防衛省も同じ見解を発表したので、結果は「グローバル・セキュリティ」の勝ちでした。これ一つだけでも「グローバル・セキュリティ」が米軍のかなり深い所にソースを持っていることがよくわかります。ですからその記事には信憑性があると私は思っています。

<おまけ>

テポドンが飛んだとき、私が某所に投稿したものです。

2006年7月12日(水)18時

米国の軍事シンクタンク「グローバル セキュリティ」がテポドン2の発射から墜落までを詳しく解析していますが、これによるとテポドンを発射した直後に弾頭の外殻が二つに分かれてはずれたというのです
http://www.globalsecurity.org/_inc/defaults/burst_728-468.htm
(残念ながら、もう記事がなくなっています 2009/1/14)

頑丈に作られている弾頭のノーズコーンが発射の衝撃で破壊されるということは、かなり考えにくいことです。これはセパレート型のノーズコーンではないでしょうか。衛星軌道に達したら二つに分かれて衛星を射出するタイプのものです。それが発射の衝撃でラッチがはずれたか、安全装置が故障して分離開口装置が作動してしまったのです。おそらくテポドンには人工衛星が搭載されていたと思います。でも見栄っ張りの北朝鮮政府は失敗を認めるのがくやしくて黙っているのです。