ソマリア沖海賊対策にP3C哨戒機2機派遣へ

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P3Cは効果的だろうと思います。護衛艦よりずっと役に立つのではないでしょうか。しかし、です。

国際海事局の年次報告書が2003年から2008年にかけての海賊発生件数を掲載しています。最初の数字が2003年、あとのが2008年です。

20032008
インドネシア12128
マラッカ282
アデン湾1892
ソマリア319
ナイジェリア3940
タンザニア514

日本はこの数字で分かるように、インドネシアやマラッカ海峡の海賊対策で実績を上げました。政府は今後もインドネシアの海上警察を強化するために3年間かけて巡視船を3隻提供し、数カ所に早期監視システムを設置し、訓練を行い、さらに300億円を援助するそうです。マラッカ海峡の安全のためには必要な投資だと思います。

こういうことがどうしてソマリアでできないのでしょうか。こういう対策を講じないと、海賊対策は進展しないと思うのですが。これは憶測ですが、よく言われる援助汚職と無関係でしょうか。インドネシアの場合、援助金の一部が国内の政治家にキックバックされる、またインフラ支援なら国内企業が落札するというような構造があると囁かれています。こういう構造がないからソマリア支援ができないなどということがないことを願います。

海賊による死亡事件はフィリピンが7人と最も多く、ついでアデン湾・ソマリアの4人です。アデン湾はたしかに危険なのですが、ナイジェリアやタンザニアはどうでしょう。その危険に見合った注目がされているでしょうか。なぜソマリアが特に注目されているのか、欧米には海賊対策だけではない別の思惑が隠れていないのでしょうか。

海賊被害にあった日本の船舶はまだ6隻です。攻撃されたのは「高山」「あいづ」「マルレイナ」の3隻です。99年にはマラッカ近辺を中心に日本船は39隻も被害にあっていました。昨年もマラッカで銃撃され、日本人船長が拉致されました。どうも被害の大きさの割にソマリアばかりがクローズアップされすぎているようで気になります。

欧米には別の思惑があるのかも知れませんが、日本政府は自衛隊の海外派遣を常態化するためにソマリアの危険を唱え、中国は海軍力をアピールするため、インドはインド洋での一定のプレゼンスを確保するため・・・という政治的動機があるようで、なんだかなあという気がしています。

アデン湾の海賊対策の最大の目的は被害の根絶です。シーパワーを見せつけるなどという目的で軍事力を安易に使用することには慎重であるべきだと私は思います。もちろん、遠いところに派遣されて活躍している海上自衛官には大変ご苦労様ですと感謝する気持ちが大きいです。しかし海軍力だけで海賊を淘汰することはできないでしょう。海軍がやってきたら、海賊は海軍のいないところで犯行を繰り返せばいいのですから。仮に海賊を物理的に制圧できても、被害の根絶は望めません。これから何十年間も継続的に海軍を常駐させることなどできないからです。

自衛隊を出せばそれで一件落着という雰囲気が政府にあるとすれば、それは大きな間違いだと思います。