テロとの戦争(1)

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テロといえば、日本で最大の問題とされているのは9.11と並んで北朝鮮による拉致問題ということになる。

北朝鮮による拉致被害は全世界規模である。国連決議によれば、判明しているだけで、韓国、レバノン、マレーシア、フランス、イタリア、中国、オランダ、タイ、ルーマニア、シンガポール、ヨルダン。日本を含めて12カ国となる。

言うまでもなく、日本以外の国々はすべて憲法で軍隊の保有を明記している国々である。この事実ひとつを見るだけで、「憲法第9条があるから拉致を防げなかった」という改憲派の主張に根拠がないことが明白だ。

軍備でテロを防げないのは、世界最大の軍事国家アメリカが9.11テロで世界最大のテロ被害国になった所に典型的に示されている。それなのにアメリカはさらなる軍事行動に世界を駆り立てている。テロリストを追いつめて、「テロが割に合わない」と思い知らせるためにはテロとの戦争を継続しなければならず、それには国際協調が不可欠であり、日本一国がこの国際的義務から免れることはできない、と。

そこで海上自衛隊の給油活動を継続させる必要があるという。しかし大切な議論が政治の場でなされていない。いや、野党から問い掛けはしているが、政府からまともな答えが返らないのだ。軍事力で「テロリスト」を屈服させる、そんなことが果たして可能なのか、それにはどれほどの軍事力が投入されるべきなのか、そもそもテロを抑止できるほどの打撃を与えるとはどういうことなのか、その遂行過程で生じる民衆被害と較べて、達成される成果が釣り合うものなのか、どういう状態がもたらされればテロとの戦争に勝利したことになるのか……。

日本政府が答えられないのは、アメリカが答えを持っていないからだろう。テロとの戦争戦略を提唱したアメリカだが、これらの問いに応えるすべを持っていないように見える。

出口のない戦争はいつか破綻するに違いない。このような戦略に追随すべき国際的義務など存在しないと私は考える。本日から数回に分けて、アメリカの対テロ戦争とは何なのかを検証したい。