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原発事故直後、日本政府が被災者に対してヨウ素剤を適切に摂取させる努力を怠ったとされています。これについて、私は一部間違った認識を持っていたようです。
どこかの日記かコメントに書いたかも知れませんが、誤っている部分については撤回することを表明します。
これまで、私の意見は次のようなものでした。
1.ヨウ素剤の摂取指示について伝達ルートがどこかで途切れていた点については、危機管理体制に欠陥があったのだから検証が必要だ。
2.ヨウ素剤が配布されず、被災者が飲まなかったことについては、(結果論ですが)問題はなかった。
その理由は、
イ、近い時期にヨウ素剤摂取基準の100mSvを被曝するであろう恐れがなかった。
ロ、実際、500mSvの被曝もなかった。(あくまでも結果オーライでしかないです)
ハ、低い被曝線量でヨウ素剤を摂取した場合、被曝予防効果よりも副作用の方が大きい。
この意見のうち、2-ハ(副作用について)は誤っていたようなのです。
典拠
「放射線面および心理面における福島第一事故の影響」
フランク・N・フォンヒッペル
米国食品医薬品局(FDA)によると、「成人および子供における副作用は、一般に軽く、臨床的に意味のあるものではない」という(FDA,2001:4-5.)。
副作用の有無は、行政の対応の遅れについて、それで正解だったと積極的に評価できる唯一の理由でしたので、この理由を撤回すれば、行政の対応を擁護できる何らの理由もなくなったことを意味します。
ただし行政の怠慢にもかかわらず、結果的に大きな被曝がなかったのも事実であって、これは本当に不幸中の幸いだったと思います。
ですから「取り返しの付かない大量被曝だ」「福島の子どもは将来大量に癌で死ぬ」に類する風評は、差別をもたらし、子どもたちから希望を奪い、被災者を精神的に追い込むものでしかなく、許し難いものであるという認識については、変わりがありません。