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米国の対テロ政策を1990年代にさかのぼって振り返る。
その理由は、現在の「対テロ戦争」が、9・11テロを契機に始められたのではなく、もっと以前からのアメリカの計画的な軍事戦略の遂行であることを知るためである。米軍は1990年から紛争・戦争を3段階に区分し、各々に応じた戦略を立てている。
1. 高強度紛争
核戦争、第一次・第二次大戦のような大規模通常戦争。
2. 中強度紛争
イラン・イラク戦争やフォークランド戦争のような地域的中規模通常戦争。
3. 低強度紛争
ゲリラ活動・テロ活動や内戦など。
これらのうち、低強度紛争の教典はFM100-20/AFP3-20である。これはUFO研究でよく持ち出されるMJ20文書みたいなマガイものではなく、秘密文書でもなく、米国政府によって公開されている公文書であることをまず明らかにしておく。低強度紛争の研究を続けている神戸親和女子大学非常勤講師である橘秀和先生の翻訳によれば、この教範に、つぎの記述があるという。
低強度紛争戦略の成功は、アメリカの利益及び法と一致し、なおかつそれによって自由、民主主義制度、そして自由市場経済の発展という、アメリカの国際的目標が促進される。
この記述からわかることは、
- 低強度紛争の目的はアメリカの利益である。
- アメリカ式「自由」、アメリカ式「民主主義」を他国に強制するものである。
- 自由主義経済、すなわちアメリカ財界の利益保障が目的である。
- 促進というのだから、受動的でなく能動的・積極的な行動である。
低強度紛争は以下の5つのカテゴリーに大別されている。
(1)反乱支援
(2)対反乱支援
(3)テロリズム対策
(4)平和維持活動
(5)平時の緊急活動
(1)の反乱支援とは、外国の国内反乱を支援すること。早い話が「テロリスト」の育成である。そんなことを公式に宣言しているのだ。レーガン大統領風にいえば、「自由の戦士」を支援するのである。
典型的な例は、対ニカラグア干渉だった。ニカラグアの隣のホンジュラスやコスタリカで反政府ゲリラ「コントラ」を育成し、ニカラグア国内でテロ活動をさせる。「コントラ」は国内でまったく人気がなかったので、国外から侵入しなければならなかったのだ。しかしアメリカの支援で継続的な破壊活動によって、コントラはニカラグア政府の乗っ取りに成功した。具体的に言えば、その破壊工作のせいで多大の復興資金と医療資金が必要となり、政府財政を苦しめた。さらに国防のために莫大な予算支出を強制した。
しかもアメリカはニカラグアを経済封鎖した。世界銀行の援助にも難癖をつけてこれを停止させた。結果としてアメリカは小国ニカラグアの財政を破綻させることに成功した。
これらの締め付けにより、ついにサンディニスタ政権を引きずり下ろすことに成功し、代わりにアメリカに住んでいた無能な男を大統領にすえるに至った。
こんなことをした国が「テロとの戦争」を唱えるなんて、悪い冗談ではないだろうか。
明日は「対反乱支援」について。