中国はチベット弾圧をやめよ8/3

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チベットの争乱。情報が錯綜していて、双方のプロパガンダだけが流れ、真実がつかめない。だが多数の死者が出たのは間違いないようだ。

発端が暴動なのか、平和的デモなのか、そのあたりがよくわからない。中国政府は暴動が発端なのでやむを得ず武力を行使したという。しかしこれまでの中国の鎮圧の方法から推測するに、たとえ平和的デモであっても力で鎮圧する手法がとられたことを否定しきれない。あの天安門がそうだったように。

平和的デモを情け容赦なく攻撃する。そして一旦は鎮圧側が引き揚げる。激高した群衆はそれに乗じて報復行為を繰り返す。そのシーンを克明に撮影し、こういうことが行われているので武力鎮圧しかないと宣伝する。そして本格的武力行使に至る。これが、ライブで目撃した天安門事件の実態だった。

今度もそれに類した手法が取られたのではあるまいか。ラサの市中を破壊しまくる群衆の姿を放映する政府系メディアの報道姿勢は、天安門事件のときとまったく瓜二つなのだ。

中国政府は「これは内政問題だ」と言うだろう。しかし隣国で行われている人権弾圧に無関心ではいられない。人権弾圧が行われていないというのなら、中国政府は外国人ジャーナリストの立入を妨害すべきではない。

分離主義との戦いはやっかいな問題だ。英国も北アイルランド分離主義者との戦いでおびただしい流血をみた。そこで英国が得た教訓は、どれほど流血の弾圧を繰り返そうとも、社会的差別や不公正を抱えたままで平和的統治などできるものではないということだ。誰が見ても当然と思えるこれだけの教訓を得るのに、イギリスはどれほどの犠牲を払ったことだろう。

「前事不忘、后事之師」(前事を忘れず、後事の師とする)。中国政府は英国の経験を他山の石として、直ちに弾圧をやめて社会的不公正の是正に着手すべきだと思う。

中国は日本の侵略戦争を非難している。その非難は正しい。だが自分が似たようなことをしていては、せっかくの正しい意見も値打ちが下がる。経済成長を誇り、オリンピックで着飾ってみても、それだけでは世界の尊敬は得られないと知るべきである。

アムネスティ発表国際ニュース
(2008年3月12日)
アムネスティ日本配信
(2008年3月17日)

中国:チベット人抗議者たちへの弾圧に高まる懸念

アムネスティ・インターナショナルは本日、チベットの首都ラサで非暴力の抗議活動に参加した人びとに対して厳しい弾圧が行われたことを非難する。

目撃者の報告によると、3月11日、前日の抗議で捕らわれた僧侶たちの解放を求めて集まった500人を追い払おうと、中国の警察は催涙ガスと電気棒を使用したという。

3月10日には、9人の僧侶を含む11人の抗議行動参加者たちが、ラサの中心にあるツクラカン大聖堂(ジョカン寺・大昭寺)の外で激しく殴打され拘禁されたと報告されている。

参加者たちは、中国の支配に反対して行われた蜂起が失敗に終わり、ダライ・ラマがチベットから亡命して49周年を迎える日を記念して、抗議行動を行っていた。
同様に約50人の僧侶が首都全域で拘禁されている。

「抗議行動に参加する人びとには平和的に反対の意を表明する権利がある。集会の自由と表現の自由を認めない中国は国際人権基準に違反している」と、アムネスティ・インターナショナル・アジア太平洋部のティム・パリット副部長は述べた。

「人権侵害が北京の路上で起ころうがチベットの山中で起ころうが、アムネスティ・インターナショナルはその行為を非難する」

アムネスティ・インターナショナルは、平和的に自らの権利を行使しただけで拘禁された人びとを速やかに解放するよう、中国に要求する。

AMNESTY INTERNATIONAL
PRESS RELEASE
12 March 2008

China: Concern grows over crackdown on Tibetan protesters

Amnesty International today condemned the harsh crackdown on peacefulprotesters
in the Tibetan capital, Lhasa.
According to eyewitness reports, on 11 March, Chinese police used teargas and electric prods
to disperse 500 demonstrators, who were seeking the release of fellow monks held after the previous day’s protests.

On 10 March, it was reported that 11 protesters, including nine monks, were severely beaten and detained outside Tsuklakhang cathedral in central Lhasa.
They had been demonstrating to mark the 49th anniversary of the Dalai Lama’s flight from Tibet after his failed rebellion against Chinese rule.
Some 50 monks have also been detained across the capital.

“Demonstrators have a right to protest peacefully. China violates international human rights standards in denying their freedom of assembly and freedom of expression,” said Amnesty International’s Asia-Pacific Deputy Program Director Tim Parritt.

“Amnesty International condemns human rights abuses wherever they occur: on the streets of Beijing or the mountains of Tibet.”

Amnesty International calls on China to release immediately all those
detained for peacefully exercising their rights.

■追記1

中国がチベット分離主義者を徹底弾圧するには、ラサに戒厳令を敷く必要があります。外部との連絡を完全に遮断し、無慈悲な血の弾圧を行うのです。いまの所、ラサにはまだ戒厳令が敷かれていないようです。今後、戒厳令が敷かれるかどうか、それが事態を判断する分水嶺になると思います。

戒厳令なしで事態が沈静化すれば、分離主義勢力は一部の過激派に過ぎなかったことになります。おそらくオリンピックで世界の注視を集めているときに、中国政府の顔に泥を塗りたくてやったんだろうという評価に落ち着くでしょう。

暴動の規模に較べて死者の数が多いように思いますから、もしかすると死者百人とは根拠のないプロパガンダだったのかも知れないということになります。

死者数を考慮しなくてよいなら、この程度の争乱なら世界に珍しくはありません。アメリカでも黒人問題で発生したことがあります。多民族国家には、民族問題がつきものです。国際社会の非難は大きくならず、中国政府も大変だなあ、程度で収まるでしょう。

しかし戒厳令が敷かれたとなれば違います。戒厳令が敷かれれば、ラサの暴動が市民の支持を得た広汎なもので、見せしめ的に徹底弾圧しなければ収まらない性質ものだと中国政府が認めたことになります。

これは同時に中国のチベット政策の失敗を意味しており、そうであれば問題は根深く、解決は困難です。政策の失敗が示唆するのは、中国のチベット政策が帝国主義的支配政策と変わらないということです。だから融和がうまくいかないのだと評価されるでしょう。すると中国政府の国際評価はがた落ちです。私も今後は中国政府のいう「民主」や「人権」や「社会主義」や「平和」を容易に信用しないでしょう。

いましばらく、ニュースを注視したいと思います。

■追記2

私の立ち位置は極めて単純です。人は誰でも幸せに生きる権利があります。民族や思想や宗教の違いや生まれを理由に差別されてはならず、誰も不当な支配や暴力にさらされてはいけないし、もしもそのような扱いを受けたなら抵抗する権利を持つというものです。

民衆の権利要求を弾圧する者が誰であれ、許せません。また民衆の苦しみの上にあぐらをかいて富をむさぼる者があれば、それも非難の対象です。チベット農民を農奴としていた地主や僧侶も含めて。ダライ・ラマはその点でとても穏健な考えを抱いていますね。