大日本帝国支配下の朝鮮半島

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愛国者さまたちが突撃してきてます。いわく、日本は朝鮮を植民地にしていない。またいわく、日本の支配で朝鮮は発展した。どこかで聞きかじったことをコピペするしか能のない人たちだなあ。

先日、姫路にやってきた田母神閣下も同じことを言ってました。

日本は侵略をした、植民地支配をしたということになっています。植民地支配と侵略によってアジア諸国民に多大の損害と苦痛を与えたことになっています。しかし日本は植民地なんか一つも持っていませんでした。植民地ではなくて併合したんです。韓国を併合したのは、日本人と同じようにしようとしたんです。学校、病院、工場、発電所を作って、日本と同じように発展させた。韓国の京城-いまのソウルです-には日本で6番目に帝国大学を作った。台湾には7番目です。大阪帝国大学や名古屋帝国大学より早いんです。愚昧政策を採った白人国家の植民地支配と全然違うんです。

アホちゃうか。

1.植民地か併合か

「植民地」というのは法的概念ではないので、「併合統治」だから植民地ではないとは言えません。それを言うなら大英帝国支配下のインドは「インド帝国」でしたし、フランスの支配下にあったアルジェリアは「海外県」でした。でもどちらも植民地でした。それと同じことで、朝鮮も日本の植民地でした。

インドには少なくとも上下両院があり、立法権と予算審議権がありました。地方議会もありました。その議員は全員インド人です。しかし朝鮮には議会がつくられず、朝鮮人には日本の選挙権もありませんでした。一方的に統治されるだけだったのですから、文字通りの植民地だったのです。

2.植民地化で朝鮮人は幸福になったか

帝塚山大学の木村教授は朝鮮の植民地化はプラスだったと結論づけている方です。「Journal of Economic History」という専門ジャーナルに「植民地時代の朝鮮の生活水準:大衆の生活は日本統治下で改善されたのか、それとも悪化したのか?」という論文を投稿し、こう書いておられます。

初等教育の履修者数、識字率、生存率は上昇し、また平均身長は少なくとも減少はしていない。

教授にとって1~2cmの低下は統計的に意味がないようです。しかしそんな木村教授でも、つぎのように書かざるを得ないのが現実です。

世帯辺りの農業収入、農業部門の実質賃金、必需食料品からの一人当たりカロリー摂取量は減少した。

大阪市社会部労働課が1933(昭和8)年に発行した『社会部報告177号』「朝鮮人労働者の近況」と言う資料が残っていて、こんなことが書いてあります。

「朝鮮を植民地視することは或いは問題であるかも知れないが、それは単に名称の問題に過ぎず事実に於いては他の植民地と同様の政策が施されているのであつて、他の植民地同様に資本主義化によつて文明の開発を得たと共に変革を伴ふ甚大なる犠牲を見たのである。しかしてその犠牲は開発者たる内地人にもたらされたものは少なく、現住者たる朝鮮人殊に全人口の約八割を占める農民階級に於いて最も著しく現れている。」

「朝鮮人の一般生活程度はわが国の奈良朝時代のそれに相当すると唱へた学者すらあるやうに、彼等の生活は一般的標準から見て頗る低く、殊に下層階級の生活は悲惨を極めている。いふまでもなく現時の経済的不況は朝鮮に於いても深刻なる影響を及ぼし、朝鮮下層民の生活は極度に逼迫してその行き暮れた生活の姿は随所に見出される。」

同時代の人が実地に見て書いているんだから、現代の国士さまが否定してもねえ。

3.西欧の植民地は愚昧政策が施されたのか

西欧が植民地の人々みんなをアホにしたのなら、独立闘争なんか起きなかったろうに。
『国立教育研究所 研究集録』第35号(1997年9月)に『アメリカのフィリピン植民地教育政策とフィリピン社会の対応』という論文が掲載されていますが、そこにこんなことが書いてあります。

アメリカは占領直後から全島で公立小学校の開設を進め、多数のフィリピン人に就学の機会をもたらした。これは他の西欧列強の植民地においてエリート教育が重視され、高等教育が優先的に整備されたのと対照的であった。小学校は無償とされ、教科書も初級課程(第1~4学年)では無料で貸与された。さらにアメリカは、本国の教員のなかから有志を募り、全島の学校に派遣した。

なかなかやりますな、アメリカ。アメリカは基礎教育に力を注ぎ、西欧諸国はエリートを養成したようですね。どの国も、支配の一部を植民地の人々に請け負わせます。その方が手間がかからず、安上がりで、しかも分断支配におあつらえ向きですから。

そういう理由で、イギリスはすべての植民地で英語教育を施しました。だから世界中で英語が通じます。ポルトガル語やスペイン語、フランス語が世界各地で使われているのも同じ理由です。台湾や韓国の年配者が日本語を話せるのも同じ理由です。

そしてフランスで学んだホー・チ・ミンがベトナム独立運動を始めたように、高等教育を受けた人々が、各国で独立運動を起こしたのです。

田母神閣下も国士さまたちも、少しは調べるということをしてから喋ればいいのに……。