初期慰安婦募集に関する資料

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1903824007&owner_id=12631570

「慰安婦は強制連行されていない」というのが、慰安婦制度を正当化する安倍晋三や橋下徹のたった一つの言い分です。しかし、慰安婦の募集は実にたくさんの法令に違反しています。だから、慰安婦を集め始めた当初、警察はこれを取り締まろうと動いたのです。

しかし、結局は軍の圧力に負けて、取締を止めて慰安婦募集に協力する立場に転換しました。違法だと認識していながら、取締をやめて協力したのだから、警察(内務省)も共犯です。そういう資料をアップします。

1.警察の取締

警察は軍隊から依頼されて中国へ送る「酌婦」を募集しているという男をしょっぴきます。うまいこといって、売春目的で人買いをしているんだろうと。日本軍がそんなことに関わっているはずがないじゃないかと。判明しているだけで6県の警察が検挙しています。

中には二度とするなと固く禁じた警察があります。しかし上海の憲兵隊から協力依頼が届いていることを確認して、驚いて男を釈放し、手を引いた警察もあります。

写真:軍慰安所のために16歳の少女を募集する契約書(警察押収資料)

写真:警察取調報告書

このように、警察は当初、誘拐の疑いで検挙したのです。違法であるから放置できなかったのです。

ところが……。

2.軍の横車

軍はあわてました。

さっそく支那派遣軍から参謀を日本に送り、内務省にかけあいます。警保局から全国の県警察に「慰安婦募集に協力してほしい」という通牒を出してほしいと。写真は、その文案が警察資料として残っていたものです。ご丁寧に名刺まで添えられています。

写真:「軍に協力せよ」との通牒を出してほしいという、南支派遣軍参謀の通牒原案1

写真:南支派遣軍参謀の通牒原案1

写真:本人の名刺つき

3.警察の協力

軍が求めた通牒が出されました。つぎの写真はその「案」の文書が保管されていたものです。「部外秘」とあり、「秘」のスタンプが押してあります。

本文は、こうです。

内地においてこれら婦女の募集周旋をしなす者にして、あたかも軍当局の了解あるかのごとき言辞を弄する者も最近各地に頻出しつつある状況にあり。
婦女の渡航は現地の実情に鑑みるときは、けだし必要やむを得ざるものあり。
警察当局においても特殊の考慮を払い、実情に即する措置を講ずべし。

警察の苦衷を反映した文章ですが、ともかくこれにより、違法な慰安婦募集が公認されてしまいました。

そして出された「通牒」。部外秘です。

軍の了解を得たようなことを言って慰安婦を募集しているが、時局に鑑みてこれを認めることとする

これ以後、警保局は、写真のように各警察に対して慰安婦募集に協力せよという通達を出します。

南支派遣軍参謀と陸軍徴募課長から要請がきたので協力することにしたいという警保局文書1

協力することにしたいという警保局文書2

協力することにしたいという警保局文書3

人数まで指定しています。

このように、違法だと認識していながら軍の要請で法を曲げたのが警察。何百人もの女性を堂々と国内移送することが、これで可能になりました。これはもう略取誘拐の共同正犯です。

こうした文書の正本は敗戦のときに焼却されてしまいましたが、下書や案文が、他の文書にまぎれて、倉庫の中に運良く残っていたのです。天網恢々疎にして漏らさず。歴史事実をしらばっくれることはできません。

慰安婦の募集の仕方について、「強制連行じゃない」と強弁する人は、その点さえクリアすれば(ごまかせれば)オッケーと思っているようです。しかし問題点は強制連行だけではありません。募集段階で少なくともつぎの各法令に違反しています。こんなことをした国は他にありません。

慰安婦の違法性について

(1)娼妓取締規則違反
①新規開業禁止に違反
②無届営業
③本人の警察申告なし
④名簿提出なし
⑤「娼妓」であるとの明示なし(欺罔勧誘-誘拐)
⑥自由廃業なし
⑦18歳未満を募集

(2)刑法第224条誘拐罪
「娼妓」を明示しない欺罔勧誘は詐欺にあたる。

「誘拐とは、詐欺または誘惑の手段により、他人を自己の実力支配内におきその居所を移させることをいう。」(大審院大正12・12・3判決)

(3)刑法226条違反

「所在国外に移送する目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、二年以上の有期懲役に処する。」
(日本軍占領地へ送る目的で慰安婦を募集するのは、これも違法)

(4-1)司法省達22号違反

前借金でしばるのは人身売買です。

人身を売買するのは古来から禁制であるところ、年季奉公などいろいろな名目で、実際には人身売買と同じことをするにつき、娼妓・芸妓などを雇い入れる資本金はこれを犯罪収益と同じとみなす。

原文 人身ヲ賣買スルハ古來ノ制禁ノ處年季奉公等種々ノ名目ヲ以テ其實賣買同樣ノ所業ニ至ルニ付娼妓藝妓等雇入ノ資本金ハ贓金ト看做ス。

(4-2)刑法226-2(人身売買)違反

未成年者を買い受けた者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
営利、わいせつ……の目的で、人を買い受けた者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

(5)慰安婦を国外に送り出すのは犯罪

刑法226-3(被略取者等所在国外移送)違反。
略取され、誘拐され、又は売買された者を所在国外に移送した者は、二年以上の有期懲役に処する。

(6)国外に送り出された慰安婦を受け取るのも犯罪

これは慰安婦を受け取った軍の犯罪。

刑法227条(被略取者引渡し等)違反。
第二百二十四条、第二百二十五条又は前三条の罪を犯した者を幇助する目的で、
略取され、誘拐され、又は売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、蔵匿し、又は隠避させた者は、三月以上五年以下の懲役に処する。