とんでも社会科授業──教育技術法則化サークル

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=694412881&owner_id=12631570

恐ろしい授業が行われている。「教育技術法則化サークル」というのがあるそうで、兵庫にも子組織があるという(「TOSS西風の会」)。このサークルの先生がどんな授業をしているかを紹介するページがあるのだが、一読して驚いてしまった。

「エネルギーでみる大東亜戦争」の追試プラン
―エネルギー問題は戦争につながる!(6年生対象)
*http://www1.harenet.ne.jp/~kobayuki/enerugi-wasensounitunagaru.htm

2008年3月解散。現在このページは開けません(2008/11/07追記)

授業の結論部分はこうだ。

石油を止められる」ということは、戦争よりもずっと大きな被害をこうむることになるのです。そしてアメリカ合衆国は、日本に対してそれをやったのです。1941年8月のことでした。その上、他の国からも日本に石油が入らないようにしました。みなさんが当時生きていたとしたらどうしますか。当時の人々は、「じっとして死を待つよりは……」と、20倍の力をもつアメリカ合衆国と戦う決意をしました。そして12月、ついに大東亜戦争が始まったのです。石油を確保するために、当時フランスやオランダが侵略していたインドシナに兵を進めました。

なんと、戦前のプロパガンダをそのまんま、授業で教えているのだ! こういう授業をやられたら、子ども達は簡単に信じ込んでしまうだろう。恐ろしい先生もいたものだ。しかしこの授業はデマカセである。

授業実践を途中からだけど紹介しよう。

3. 大東亜戦争(太平洋戦争)について

<発問2>
ところで、わが国が50年ほど前に戦った戦争は、「大東亜戦争」とか「太平洋戦争」と言います。その当時の日本とアメリカ合衆国との兵器の生産力、例えば、戦闘機や戦車や鉄砲などの生産する力を比べるとどのくらいの違いがあったのでしょうか?
次の中から予想しなさい。
(1) 日本1 vsアメリカ5
(2) 日本1 vsアメリカ10
(3) 日本1 vsアメリカ20

人数を確かめて正解を告げる。正解は、1対20の差がである。圧倒的な力の差である。このように圧倒的な力の差があったのに、日本は、アメリカとも戦争を始めてしまったのです。

<説明3>当時、日本は、年間400万キロリットルの石油が必要でした。しかし、国内でとれる石油は30万キロリットルしかなかったのです。(数値を板書)

<発問3>残りの石油は、外国からの輸入に頼っていました。どこの国に頼っていたと思いますか。

<説明4>輸入する石油のほとんどを、日本はアメリカ合衆国に頼っていたのです。

<発問4>もし、このアメリカ合衆国から来る石油を、止められたら、どうなると思いますか。

<指示1>ノートに、考えられること、思ったことを書いてごらんなさい。

発表させた後、次のように説明する。

<説明5>石油が止められたらどうなるかというのを、今から20年ほど前に本に書いた人がいます。今は大臣になっています。経済企画庁長官の堺屋太一という人です。その人の本では、次のようになっています。

以下の文章を子どもたちに短く予想させながら、板書していく。

<石油輸入量が70%減った場合>
10日後 変化なし
20日後 政府の規制によりGNP少し低下:96
30日後 さらに低下 GNP:80~90台
40日後 さらに低下
50日後 さらに低下 GNP:88
60日後 備蓄石油ゼロ GNP:40~60台
100日後 死者 数千人
150日後 死者 30万人 GNP:34
200日後 死者 300万人 国民の財産の7割が消失 GNP:23
『油断1』(日本経済新聞社)

100日後からは、驚きの声があがる。
注:大東亜戦争で戦死した人は全部で240万人と言われる。

<説明6>200日後の状態は、大東亜戦争の3年9カ月間と同じ被害になるのです。時代は違いますが、「石油を止められる」ということは、戦争よりもずっと大きな被害をこうむることになるのです。

<説明7>そしてアメリカ合衆国は、日本に対してそれをやったのです。1941年8月のことでした。その上、他の国からも日本に石油が入らないようにしました。

<発問5>みなさんが当時生きていたとしたら、どうしますか。

<説明8>当時の人々は、「じっとして死を待つよりは……」と、20倍の方をもつアメリカ合衆国と戦う決意をしました。そして12月、ついに大東亜戦争が始まったのです。石油を確保するために、当時フランスやオランダが侵略していたインドシナに兵を進めました。

この授業の間違いについては次の日記に書いたので読んでほしい。
「ABCD包囲陣のウソっぱち」

これは前日の日記の続きですが、それは読まずにこれだけで読んでもらっても大丈夫です。 「とんでも社会科授業──教育技術法則化サークル」 さて、とんでも社会科授業で教えられている、「日本は石油を止められたからやむなく戦争に踏み切ったのだ...