カネ貸しの本分

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カネ貸しの本分
日経ビジネス(蛯谷敏)
2012/11/26

http://business.nikkeibp.co.jp/article/person/20130311/244839/

2000年代後半に担当していた消費者金融業界で、ある金融業者の社長から聞いた言葉です。お金を貸す際、信販会社は何も考えずに融資の与信枠を与えてしまう。銀行は不動産を担保に取るが、それに安心してまるで借り手のことを見ていない。いずれも、本物のカネ貸し、もとい金融ではないというのが、この社長の主張でした。

一方、消費者金融は対面与信を何よりも重んじる。相手の爪を見て黒ければ、土木の仕事を真面目にやっていることが分かる。約束の時間に遅れない人は、返済も滞らない。人を見て融資する細かいノウハウが山ほどあったと言います。

しかし、取材した当時、消費者金融においても対面与信の精神は形骸化しつつありました。業界大手のアコムが1993年に開発した自動契約機「むじんくん」によって、気軽に融資できる装置が登場。競合他社も次々と自動契約機を投入し、業界は対面よりも効率重視の経営にシフトしていきます。

業界が事実上消滅した今、改めて冒頭の社長の言葉が耳に残ります。カネ貸しの本分とは、顧客と向き合い、その人となりを知り、信用力を見極めることである――。手間と時間はかかりますが、この大事な作業をすっ飛ばし、効率だけを追い求めれば、どこかでツケが回ってくる。消費者金融だけでなく、日本のバブル崩壊、リーマンショックを振り返っても、その本質は変わりません。

一流企業のシャチョさんがカネ貸しに経営道を説教されるとは(指摘が当たってるだけに)世も末ですな。

ところで私は、この記事のタイトル「カネ貸しの本分」を「カネ貸しの本領」と読み誤り、「○○の本領」といえば直ちに軍歌「歩兵の本領」が頭の中で鳴り出す左翼軍事派です。
以下は「歩兵の本領」の元歌を知っている人にしか分からないギャグです(すみません)。

ちなみに歩兵の本領の1番は
万朶(ばんだ)のさくらか 襟の色
花は吉野に 嵐吹く
大和おのこと 生まれなば
散兵戦の 花と散れ

■カネ貸しの本領(替え歌)

まじめな男だ 爪の色
時間にルーズは ホラを吹く
金貸し稼業に 生きるなら
対面与信で 花と咲け

無人の機械は 武器ならず
与信の ソフトも何とせん
知らずやここに 幾星霜
鍛え鍛えし 与信魂

千里東西 波超えて
我に返さぬ 者あれば
直ちに出でん 黒ベンツ
全額回収 鬼金融