海上保安官 抵抗の代償

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流出、元保安官は起訴猶予へ
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割に合わない理不尽な話だなあ。
上がアホだと下は苦労する。

罰するまでもない軽微な犯罪なのに、なんで辞めなくてはいけなかったんだろう。辞めざるを得ないような圧力にさらされたんだな。
海保幹部の説得をちょっと想像してみた。

君のやったことについては、私も共感はするよ。しかし、組織の規律を乱したことに変わりはないんだ。それは、君も優秀な海上保安官だから、わかるよね。
こういうことをしてしまった君に、気の毒だけど海保で出世の道は、もうないよ。君も自分の信念にもとづいてやるべきことを果たしたんだから、気が済んだだろう。ここは、いさぎよく転身を図るべきなんじゃないかね。
世間は英雄だとか持ち上げてくれるかも知れないけど、口先だけだよ。あっというまに忘れられてしまう。そんな無責任な声に乗せられて、何とかなるんじゃないかなんて甘い期待をしてはいけない。
海上保安庁といえども、お役所なんだから、お国には逆らえないんだ。いつまでも君をかばってもいられない。天の声でもかかってごらん、それで懲戒処分などということになったらどうするんだね。
懲戒解雇となると、退職金が支給されなくなるし、再就職にも差し障りがあるよ。いまなら、就職先は海保があっせんする。ね、ここは決断した方が良いんじゃないかね。

ビデオを公開しようがしまいが、そのことで国益が傷つこうが傷つくまいが、そういうことはもっと上の考えることであって、海上保安官は与えられた任務を粛々と遂行するだけ。こういう考えもありだろう。そうでなくては組織がうまく機能しないというのも事実だ。

けれどもそうであれば、規則に基づいて、然るべき処分を公明正大に下すべきだった。そうしないで依願退職という形を取ったのは、辞めさせる理由がなかったからだろう。しかしここで辞めて貰わなければ、累は海保組織上層部にまで及ぶ。

実のところ、海保幹部にとっては、一保安官の行為の理非曲直ではなくて、自己保身が最大の関心事だったと思う。

上の立場からみれば、事の善し悪しなんか関係なくて、下っ端が勝手なことをしたのが悪い。上司の管理責任が問われるようなことをする奴は組織にいられなくなるんだぞ。会社でも同じだが、権力を持った奴に盾突くとロクなことにならないぞ。ある意味、こういう見せしめだったんだろう。

こんな理不尽は世の中に掃いて捨てるほどある。逆らわずにうまく立ち回った奴がいい目を見る。それが世の中だ。

しかしそんな世の中であることに抵抗して闘った無数の人たちもいて、その人たちが世の中を変えてきたのも事実だ。維新の志士しかり、自由民権の闘士しかり、戦前の自由主義者、反戦平和を唱えた社会主義者、労働運動家たち……。

それら多くの人たちのうちほとんどの人はちっとも報いられないで、あたら人生を棒に振ってしまった。財産を失った人もいるし、刑務所に入った人もいる。殺された人だっている。首になった人なんか数え切れない。

それでも懲りずに、次から次へと「義」とか「理」に突き動かされて動いてしまう名もなき人々。
そういう群像を、この社会がどれほど生み出せるか、それによって日本の未来が決まっていくんだろう。そういう人たちの群れの、はしくれにでも立っていたいと思う。