南京事件　70年前の今日を忘れない

南京とその近郊では、底知れぬ恐怖と、おびただしい流血と、断末魔の叫びの日々が、幾日も幾十夜も続いていました。

70年と言えば、すでに歴史の彼方のように思えますが、南京事件の体験者がまだ生きておられます。

歴史の生き証人の前で、「そんなことはなかった」と禍々しい言葉を吐き捨てる、あさましい人たち。

ネットで歪められた虚妄の作り話にすがって「日本の誇り」を掲げている人たちは、虚心坦懐に自分の姿を鏡に映してみればよいのです。

そこには醜く肥大化した虚栄と慢心、自己中心的な己の姿があるでしょう。真実を歪めてこねあげた偽りの「誇り」。そんな「誇り」にはカケラほどの値打ちもありません。

本当のことを知るのはつらいけれど、こんなことを私達の国がしたのかと知るのは哀しいけれど、事実は事実であって、隠しようもなければ打ち消しようもありません。

不都合なことはなかったことにしたい人々にとって、記憶を風化させる歳月こそは、何よりの味方でしょう。しかし歳月を越えて保たねばならぬ記憶はあるのです。

南京の悲劇もそのひとつです。幾万とも知れぬ罪なき人々の無念の思いにかけて、私は何があろうとこの日を忘れまいと思います。

二度と政府に愚かしい振る舞いを許さず、隣国と平和な関係を維持していくこと。それがいまを生きる私達の努めであるべきです。自分にできることなどたかが知れていますが、同じ思いの多くの人たちと手をたずさえあって、ほんとうの平和を築き上げるために、微力を尽くしたいと思います。

南京占領70年目の日にあたって。