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■海上保安庁には船が足りないか
海上保安庁を派遣せよという提案に対し、海保は保有艦艇が足りないという意見があります。これについて検討してみます。
海上保安庁の巡視船のうち、海外任務に使える艦艇は「しきしま」1隻と「みずほ型」の2隻で、合わせて3隻あります。どちらも複数のヘリを積める艦艇で、海賊対策に充分な性能を持っています。3隻あれば1隻が任務につき、1隻は交代のための航海中、1隻は整備と休暇というローテーションが組めます。3隻体制で大丈夫です。
写真:巡視船「みずほ」
しかし政府は2隻体制で派遣するので、最低でも6隻のローテーションが必要だと言います。そんなにたくさん必要でしょうか。
■ほとんどの国は1隻しか派遣していない
各国はどうしているかを確かめましょう。現在、ソマリア沖に戦闘艦を派遣しているのは13カ国です。うち複数の戦闘艦を派遣しているのは米、中、露の3カ国だけで、いずれも国連常任理事国で、軍事大国です。常任理事国でもイギリス、フランスは1隻のみの派遣です。国連非常任理事国のうち艦艇を派遣しているのは、日本以外ではトルコだけで、フリゲート艦1隻です。
他の派遣国はイタリア、オランダ、カナダ、スペイン、ドイツ、ポルトガル、インドがいずれもフリゲート艦1隻。デンマークが後方任務を担当しています。1隻で充分なのです。(ところで派遣国はほとんどアフガン包囲のための「作戦CTF150」の参加国です。各国がそんなに海軍艦艇を潤沢に保有しているとも思えないので、既に派遣している艦艇の任務を変更したか、アフガン作戦に加えてソマリア作戦を追加して艦艇を流用しているのかも知れません。ここは、まあ推測です。よく分かりません。)
写真:巡視船「しきしま」
■なぜ自衛隊にこだわるのか
ともかくこういう状況ですから、日本政府が複数の艦艇派遣にこだわる必要はどこにもありません。そういう計画に固執しているのは、海保を出せと言う正しい声に反駁するため、必要もないのにわざとそうしているのかも知れません。自衛隊を戦闘現場に送り込む実績を作りたいなどという政治の都合にあわせて合理性に欠ける運用をするのは、軍隊を使うときに一番やってはいけないことです。
たしかに海上保安庁は保有艦船が少ないので大変だと思いますが、海自だって船が余っているわけでないのは同じ事です。法的に難しい問題を抱えている自衛隊を無理して派遣する必要はどこにもありません。軍艦でなければならない理由もありません。米国だって日本の海保にあたる沿岸警備隊の巡視船をすでに出しているんですから。