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強姦したかどうか不明なのに、強姦したと決めつけるのは不当か☆
「疑わしきは被告人の利益に」
「推定無罪」
この法理は正しいと思います。しかしこの法理が誰に適用されるべきかと言えば、裁判官です。検察官がこんなことを言っていたのでは全ての犯罪が告発不可能になります。また弁護人は「疑わしき」どころか真っ黒であっても被告人の利益のために戦います。中立かつ公平な裁判官だけが、「疑わしき派被告人の利益」「推定無罪」の立場に立つべきなのです。
私はこの件に関する限り、中立であろうと思いません。私はあくまでも被害者サイドに立ちます。ジャッジする側ではなく、戦う側に立ちます。ですから被害者が強姦の被害届を出しており、警察が「強姦容疑で逮捕」したのですから、犯人を強姦犯として扱います。
もしかすると私は間違っているのかも知れません。
その時、犯人から謝罪を求められれば、潔く謝罪するでしょう。
「あなたは強姦野郎じゃありませんでした。強姦未遂、女性の敵、ロリコン、未成年に対する卑劣なわいせつ痴漢犯人でした。強姦犯ではなくて、社会経験未熟な少女を言葉巧みにかどわかし、強姦目的で家に連れ込んだものの、果たせなくて逃げられ、それをしつこく追いかけ回して車に押し込み、体をいじくってキスを迫るなどわいせつな行為を強要した、とんでもなく卑劣な男でした。どーもすみません!」てね。
さて、結果が分かっていないのにあらかじめ結論を決めてかかって加害者を糾弾する運動というのは、間違いなのでしょうか。
間違っているとは言えないと私は思います。
だってほとんどすべての公害反対運動がそうでしたね。水俣病を例に引くまでもなく、公害の原因物質を垂れ流している企業は、絶対にその事実を認めませんでした。犯人の米兵が強姦を認めないのと同じ態度でした。
公害問題がクローズアップされている時、「疑いの段階で決めつけるなんて、だからやっぱりお前たちは……」という意見が多数を占めていれば、運動は成功せず、公害裁判も起こされず、公害防止法も出来ておらず、日本の国土は汚され続けていたでしょう。
ここでは「守られるべき法益」と「失われる法益」の比較という側面からアプローチしてみたいと思います。
強姦していないのに強姦したと決めつけられているとしましょう。
結果としてそれで米軍の性犯罪対策が進展するかも知れません。
得られる利益は基地周辺の治安改善です。
失われる利益は、「痴漢」なのに「強姦犯」と言われる米兵の名誉です。
逆に強姦しているのにうやむやにされるならば。
きっと米軍の性犯罪対策はなおざりにされるでしょう。
失われる利益は基地周辺の治安改善です。
得られる利益は「強姦犯」なのに「痴漢」とされる米兵の「名誉」です。
では傷ついたり回復したりする米兵の名誉とはどの程度の名誉でしょうか。彼は「強姦犯」でなければ、「未成年に対する痴漢犯」なのです。あるいはその逆です。「強姦犯」が「未成年に対する痴漢犯」になれば、名誉が回復するのでしょうか。「未成年に対する痴漢犯」が「強姦犯」になれば、名誉がすごく傷つくのでしょうか。どちらに転んだとしても、あまり名誉ある称号とは思えません。
ひるがえって治安がどうなるか、それは基地周辺住民にとっては大変に大きな意味を持ちます。米軍が本気で性犯罪を抑止しようとするか、建前だけつくろって容認するか、それは襲われ汚される可能性のある女性にとって、とてつもなく大きな違いです。
「未成年に対する痴漢犯」なのか「強姦犯」なのかという微々たる違いにこだわって米兵の「人権」を守ることで得られる米兵の法益と失われる県民の法益、これは比較の対象となり得るものでしょうか。とても較べられるようなものではありませんよね。
その辺を歩いている米兵を捕まえて何の根拠もなく「強姦野郎」呼ばわりをするのではないのです。本人が認めていないといっても、被害者の届けがあり、警察が強姦容疑で逮捕し、取り調べに同席した米国側代理人も「不当逮捕」だと指摘していないのです。
仮にたとえ米兵が強姦に及んでいなくて未遂であったにせよ、彼を強姦犯と誤解した程度ならば、違法性が阻却されると考えて良いでしょう。むしろ本人の否定を理由に犯罪の追及をやめる方が、新たな違法行為を誘発させる蓋然性が高いというものです。
以上が私の意見ですが、完全に正しいと主張するつもりはありません。偏っているし、間違っているかも知れません。大会反対派以外の心ある人がよく考えて意見を述べてくれれば、あるいは意見を修正・撤回するかも知れません。
大会反対派以外の人の意見であれば、です。
どうして大会反対派の意見は採用しないのでしょうか。
つぎにそのことについて述べます。
疑いの段階で決めつけるのが不当だというばかりでなく、さらに沖縄県民のことを「だからお前たちは……」などと侮蔑的に語る人は、イラク戦争について抗議をしたのでしょうか。あの戦争こそ何の根拠もなく大量破壊兵器があると決めつけ、「疑い」の段階で発動された戦争です。米兵の犯罪について失われるのは「名誉」でしたが、戦争で失われるのはそんな抽象的なものではなく、おびただしい人命でした。
ささいな米兵の名誉にすらこだわるほど「人権」に敏感な人たちが、イラク戦争の人権侵害にどうして怒り心頭に立ち上がらないのか、ここでもダブルスタンダードが生じています。つまりは彼らの言う「人権」など、大会にケチをつけるための、ただの口先の理屈でしかないということだと私は判断します。
これが、その意見に耳を関すつもりがない理由です。