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小惑星イトカワを探査して帰ってきた「はやぶさくん」などを開発したJAXA(ジャクサ 宇宙航空研究開発機構)に、軍事部門を担わせようという法案が提出されている。JAXAの研究は「平和目的に限る」とされているが、この文言を削除するというのだ。
2008年、自民・公明が、宇宙開発の軍事利用をすすめる「宇宙基本法」を成立させた。そのあとを受けて、民主党政府が、さらに一歩ふみこんだことになる。
宇宙飛行士の秋山豊寛さんや、安斎育郎さんなど9条科学者の会が、これに反対するオンライン署名を展開中だ。
*http://jaxaforpeace.a.la9.jp/
憲法第9条骨抜きを許してはならないと思う。
ここまでが本論で、あとは細かい話。
■白紙委任はできない
法案は「宇宙開発戦略専門調査会」の諮問に基づいている。
今年1月、その調査会が、「宇宙空間の開発・利用の戦略的な推進体制について」という文書を発表した。「民生・安全保障両分野における宇宙空間の利用の重要性が今後さらに高くなっていくことは確実」だと述べているが、安全保障分野でどのような重要性があるのか、まったく触れられていない。「平和利用」のタガをはずしたうえで何がしたいのか、全然わからない。
どんな事情で何が必要だから何をするのか、それがわからないのに、法律を変えるという。冗談ではない。法案提出を諮問した宇宙開発戦略専門調査会のメンバーを以下に示すが、こんな連中の諮問したことに、白紙委任などできるはずがないではないか。
■「宇宙開発戦略専門調査会」とは
メンバーはつぎのとおり。
●安西 祐一郎
慶應義塾学事顧問、元慶應義塾長
情報工学の専門家。NHK会長になることが決まっていたが、「交際費はあるのか」と問い合わせたことで人物像に疑念が生じ、取り止めとなった。
●薬師寺 泰蔵
慶應義塾大学名誉教授、元総合科学技術会議常勤議員
憲法改正試案を出した「世界平和研究所」専任研究員、理事。
●中西 寛
京都大学大学院法学研究科教授
米国追従の立場をはっきりと示している国際政治学者。自民党政府時代から、数々の外交・安全保障諮問会議の委員を務めている。
●川本 裕子
早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授
元マッキンゼー・アンド・カンパニー幹部。新自由経済主義者。政府の金融タスクフォースの一員として、銀行に税金を投入して救うプランを監視した。
●田中 明彦
東京大学大学院情報学環・東洋文化研究所教授
国際政治学者。業績としては、イラク戦争を積極的に支持したことで有名。ジョセフ・ナイを信奉しているらしい。
●渡辺 捷昭
トヨタ自動車株式会社取締役副会長
コストカッターとして社長時代に辣腕を振るったが、人材不足を無視した商品投入、行き過ぎたコスト削減によって、トヨタがもっとも売りとしていた耐久性や信頼性を損ない、後のリコール問題、品質問題の引き金を作った。そのため会長になれなかった人物。
●葛西 敬之
東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長
保守論客。「国鉄改革3人組」の一人として、国鉄分割民営化を推進した。
●佃 和夫
社団法人日本航空宇宙工業会会長、三菱重工業株式会社取締役会長
民間企業で初めてH2Aロケットの打ち上げを発注、衛星打ち上げビジネスに関心が深い。
●小宮山 宏
株式会社三菱総合研究所理事長、元東京大学総長
地球温暖化問題に造詣が深い。
●中須賀 真一
東京大学大学院工学系研究科教授
超小型衛星の開発で知られる。
●松本 紘
京都大学総長
専門は宇宙科学。宇宙電波工学。
●松井 孝典
千葉工業大学惑星探査研究センター所長、東京大学名誉教授
「水惑星の理論」で有名。エコロジーの観点から地球科学を提唱している。
●上杉 邦憲
無人宇宙実験システム研究開発機構顧問、宇宙航空研究開発機構名誉教授
●向井 千秋
宇宙飛行士、宇宙航空研究開発機構特任参与