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アフガンのタリバンは、ときどき戦士を混乱させるような指示を下す。「敵に協力する者は女でも殺せ」と命じたかと思うと、「攻撃で民間人を殺すな」と命じる。アフガンのような国で敵の協力者とそうでない人間を、どうやって見分けろというのだろうか。現場の苦労を知らない指導部が、いかにも耳障りの良い指示を下して自己満足する風潮は、タリバンも同じなんだなあと思う。
去年のいま時分、「民間人から武器や金を奪うな」という指示が下されたとき、タリバン兵にもタチの悪いのがいることが分かった。住民から怨嗟の声が上がり、それがタリバン指導部にまで届くというのは、かなりの規模で略奪が公然化している実態を示している。
最近タリバン指導部が出した警告は、ややエスカレートした。「罪のないイスラム教徒の血が戦士(ムジャヒディン)の怠慢で流されていることが、反論を許さない形で証明されるなら、イスラム法に基づいて罰せられなければならない」。
国連の調査によれば、アフガン市民の死者の8割がタリバンによるものだそうだ。国連は多国籍軍寄りの立場だから、この報告は割り引いて読まなければならないだろう。しかし、タリバンの手による市民殺害も、タリバン自身が自分の兵士に警告しなければならないほどの規模で起こされているのは間違いない。
戦闘に巻き込まれて流れ弾で亡くなっているのなら、米軍のせいにすればよいのだから、タリバンはこのような警告を出さない。
またタリバンは都会で市民を巻き添えに自爆テロを繰り返すことを厭わない。「外国兵と同居している都会の連中など、死んで当然」程度の意識だからだ。自爆テロで都市住民が反タリバンに傾こうが、もともと都市部の支持は低かったから、タリバンにとってはいまさらどうでもよいのだ。
彼らの焦りは農村部における信用失墜を示している。農民からタリバンに対して抗議の声が届けられているのだと思う。タリバン兵の行いのせいで、タリバン自身が危機感を覚えるほどに、農村での支持が低下しているのではあるまいか。
タリバン兵の士気が高いのは、祖国防衛の戦いだと信じているからだ。しかし戦いが長引くと、現場に腐敗が生じるのが軍隊の常だ。タリバンの人的損害はかなり大きいから、戦士の質もだんだん低下する。ムジャヒディンの振りをすれば飯が食えるというだけで戦列に加わり、無駄飯を食っている奴もいるだろう。鼻つまみ者が村にいられなくなり、タリバンに加わるということも起きる。こういう組織だから、物資が潤沢なら汚職の温床になるし、物資が不足すれば略奪の原因となる。
きれい事を言っても、しょせんは人間のすることだから、裏表がある。薄汚い動機を大義名分で塗り隠して人殺しをする、それが戦争なのだ。アメリカもタリバンもどっちもどっち、決して正義の軍隊ではない。
タリバンの統治地域では食料生産よりも芥子(けし)栽培を強制され、搾取されているそうだ。軍閥の統治地域ではタリバンが芥子栽培を強制し、軍閥がそれを黙認して、あとから利益を横取りする。アフガン政府の統治地域では米軍の手で芥子畑が焼き払われる。
3つの暴力組織の狭間で、農民だけがひどい目にあっている。