http://mixi.jp/view_diary.pl?id=553742766&owner_id=12631570
橋下弁護士大反論!公開バトル要求
*http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=290040&media_id=30
橋下氏の言い分は変だ。
そう思う理由を、彼の主張ひとつひとつについて、書く。
>弁護団が差し戻し審で、一、二審の主張と違うことを言っているのがおかしい
一、二審とメンバーが違うんだから、主張が違うのは当たり前だね。初めと変わらない主張を繰り返してたら、その方が職務怠慢だ。主張を変えたから懲戒だ、なんて言ってたら、検察が裁判途中で訴因変更するのもダメなんだろうか。橋下氏が裁判官だったら、それで助かる凶悪犯がたくさん出るだろうな。
>被害者や国民にわかる形で説明していない
まさにそれを今から裁判でやるところじゃないか。それに弁護団は記者会見で分厚い資料を配って、大切な論点は説明している。それをみんなが知らないのは、報道しないメディアの責任だ。橋下さんが知らないなら、それは彼が勉強不足なだけ。彼の勉強不足がどうして弁護団のせいになり、しかも懲戒だというのだろう。専制君主でもあるまいに、橋下氏は何か勘違いしてはいまいか?
>裁判引き延ばしは許されない
弁護団はこれまで検討されたことのない証拠を洗い直し、すでに重大な矛盾をいくつも見い出している。これらは本来なら一審で吟味されていなければならなかったのに、見過ごされていたのだ。時間がかかったのはそういう証拠再調査が大変な手間をくうからだ。証拠もろくに調べず、とにかく早く死刑にしろというのは裁判ではない。まして綿密な証拠調べが懲戒理由になるという橋下論理には、とても同意できない。私たちは「バラバではなくイエスを!」と叫んだ愚かな群衆になってはいけないと思う。
>弁護人は被告人のためだけに活動すればいいというのは、品位がない
弁護人が被告人のために活動しなかったら、誰がそれをするのか。それが弁護士の職務ではないか。誠実な弁護士ほど加害者にとっては心強く、逆に遺族にとっては許し難く思えるに違いない。その弁護活動は、被害者の立場に同情を寄せる人にも、やはり気にくわないだろう。しかしそれが被告人の弁護人の役割なので、その主張に万人が怒っても、懲戒にあたるはずがない。近代的裁判制度とはそういう制度なのだ。弁護活動が懲戒にあたるというなら、刑事弁護とは何だというのだろうか。
>公開の場で対決しよう
これは正々堂々と論じあおうという趣旨の提案だと思う。それなら、その場の発言の責任を問われない公開討論ではなく、自分が懲戒を申し立てればよい。同時に法的にも倫理的にも水準の高い論文を書いて、国民や専門家に読んでもらえばいい。たぶん、彼はそれをしない。橋下氏には論文なんか書けないと思う。
明治時代、ロシア皇太子ニコライを傷付けた津田巡査を死刑にしろと民衆は叫んだ。しかし裁判官は死刑判決を下さなかった。それが法だからだ。法は人間感情を基礎とするが、激しやすく移ろいやすい感情に比べ、安定が求められる。橋下氏とは、津田巡査を死刑にしろと叫ぶ群衆をさらに興奮させる扇動家でしかないように見える。
魔界転生、ドラえもん…。胸くそ悪いいいわけです。犯人は本当に愚劣なやつだと思います。こんなのに通り魔みたいに殺されてしまった母子は本当に気の毒だ。しかし、どれほど非常識な言い分であろうと、それが本人の主張であるなら弁護人はそれを代弁する義務があります。
ところがその行為が懲戒に値すると橋下氏は言う。橋下氏の言い分を真に受けて、もしも被告人の主張を代弁しなかったら、被告人から防御権の侵害だとして訴えられてもしようがないところです。それこそが懲戒もの。
橋下氏はプロなのだから、弁護人の主体的な主張と被告人の代弁者としての主張を峻別できないはずがない。それなのにどうしてこの2つを混同させて非常識な非難をするのか、私には理解できません。
被告人をきつくしかって更生させようとする弁護士がいます。安本弁護士のように被告人をありのままに受け入れて、そこから更生の可能性をさぐる弁護士もいます。どちらが良いとは言えません。それは個々の弁護士のもつ哲学や人間観にもとづく、それぞれ個性的な方法なのであって、どちらが優れた方法であるか、判定のしようがありません。
長い弁護士人生の中から生み出した方法論を、よく知りもしないで誤っていると決めつけ、その方法論を罵倒し、「だから弁護士なんて」という言説を振りまいている橋下氏こそ、弁護士の品位を傷付けて信用を失墜させている張本人ではないのでしょうか。
日記にあれは死刑のがれに弁護士が「入れ知恵」したのだなどと、根拠もなく憶測で書いている人がたくさんいます。
大誤解! そんなことをすれば弁護士資格を返上しなければならない。それに主義主張だけで勝てるほど刑事裁判は甘くない。まあ刑事裁判をよく知らない人たちが誤解するのは無理ないとしても。しかし橋下氏はそういう誤解を解きほぐすべき立場にあります。それなのに、かえって誤解をあおるような主張を繰り返しているのはなぜななのか。私には、本当に、まったく理解不能です。