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普天間5月決着を事実上断念
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鳩山さん、いまあなたは孤立しています。寂しい気持ちもあり、悔しい気持ちもあり、投げ出したくなったりしているのではありませんか。もしそうなら、いまこそあなたに聞いて欲しい話があります。
憲法集会での伊藤千尋さんのお話
■愛国社会になったアメリカ
(9.11同時多発テロのあと)風景が一変するわけですよ。町の建物から窓から玄関から星条旗、国旗を垂れ流すわけです。町を走る車が星条旗で走るわけです。どこを見ても国旗だらけです。アメリカが一挙に愛国者になった。
その中でブッシュ大統領は、自分に権力を引きつけるそういう法律を一杯出してきました。最初に出してきたのは戦争をする権限を一人に集めるそういう法律でした。それが議会に、アメリカは上院と下院がありますが、上院に法律が出された。上院は満場一致で通った。
今、共和党も民主党も関係ない。今、国旗の元に星条旗の元に団結しよう。そんな雰囲気に充ち満ちていました。だからブッシュが出した法律に議会上院は満場一致で賛成しました。その法律が次に下院に行きました。
■大統領、私は反対します
下院では、たった一人だけ反対した議員がいたんです。バーバラ・リーという名前の黒人の女性議員です。この人がたった一人だけ反対した。
えーっと思った。あの時、テロ直後ですよ。そんな時に反対するような議員がいるとは思えなかった。あの時は何でも、イラク戦争でも何でも起こせという、世界中に復讐しろというアメリカ中がこういう気持ちでいたんです。すごいピリピリしたそういう社会でした。でも、たった一人反対した。
それを聞いて僕は思ったんです、この人ただではすまないと。アメリカ中から非難罵倒されると思ったんです。
まずそうなったんです。彼女の支持者達がそうなったんです。あんたなんて事してくれるんだ。今アメリカ人がみんな団結しなければいけない時に反対するとはこの非国民がと。そして今すぐ議会の代表を辞めろと。それよりアメリカ人を辞めろと。国を出てカナダでもどこでも行ってしまえと。非難罵倒がアメリカ中から殺到したんです。当時まだ誰がテロを起こしたのかも解っていなかった。そういう時に彼女が生け贄になっていたんです。ものすごい非難罵倒だったんです。
彼女は一年後に改選の時期を迎えていました。でも、彼女はもう選挙でとおらないどころか立候補すらできないだろうというまさにそんな状況だったのです。
■バーバラ・リーの勇気の源は
思ってた以上に非難罵倒がすごかったら、普通はごめんなさいと謝っちゃうじゃないですか。あるいは逃げる。辞めりゃすむじゃないですか。彼女はどうしたか。彼女はその逆だった。一言も謝らなかった。謝らないどころか自分の正しさを証明するために人前に堂々と出て行ったんですよ。何をしたか。説明をする集会を開いて回ったんですよ。
ロサンゼルスで、人が200人集まって彼女の説明集会が開かれる。僕もそこに聞きに行きました。ちょうどこの会場、こういう状況です。そこに200人がいる。彼女が壇上に上がると彼女はこう言ったんです。
あの投票の日の行動を淡々と説明しました。覚えています。あの日、彼女は議会の部屋に一人で閉じこもった。何をしたかというとアメリカの憲法を最初から読み直したというのです。どういう観点か。議会の役割とは何か。議員の責任とは何か。こういう観点です。議会というのは大統領が変なことをしないようにきちんと見張る、こういう役割があるじゃないですか。
その時に思い出したのはベトナム戦争だったんです。ベトナム戦争、それは泥沼の戦争だったじゃないですか。あの戦争でベトナム人が300万人死にましたよ。アメリカの若者も兵士となって5万8,000人が亡くなりました。なぜあそこまで酷い戦争になったのか。くい止められなかったのか。それは議会があの時、大統領のやり方を見過ごしてからだと。
■ウソで始められた戦争
あのベトナム戦争が起きる前にトンキン湾事件というのがありました。トンキン湾という湾があって、そこにアメリカの軍艦がいたんです。それに対して北ベトナム軍が突然攻撃をしてきた。これがトンキン湾事件です。これを理由としてアメリカ軍は悪い北ベトナムをやっつける正義の戦いだと言って北ベトナムを爆撃したんです。これがきっかけであのベトナム戦争がどんどん大きくなった。エスカレートしていったんです。
でもベトナム戦争の終わり頃に解ったのは、トンキン湾事件というのはアメリカ軍がでっち上げたものだと解った。ベトナムは攻めてないんですよ。アメリカ側は我々は攻められたとウソの発表をして、それを理由にして北ベトナムを爆撃した。
アメリカの戦争のやり方って、ずーっとこれですよ。建国以来。相手からやっつけられた、われわれはこれに仕返しをすると、こういうやり方で戦争を始めたのです。そうすると国民が団結するかも知れない。必ずそういう形をとっている。
■一人の勇気が人々を変えた
バーバラ・リーさんはそれを思い出したんです。アメリカ大統領は正義ばかりやってきただろうか。ついこの間のベトナム戦争ひとつとっても国民を欺いて戦争に持ち込んで、将来ある若者の夢を5万8,000人の夢を摘んだじゃないか。こんな事がついこの間あったばかりじゃないか。今またそれが繰り返されようとしている。
すべての権限を大統領に与えたら、特にこのブッシュ大統領は何をするかわからんと。それを食い止めるのが議会の役割じゃないか。そう憲法に書いてある。ならば、今日の投票で私はどうすべきか。これはノーを入れなければいけない。反対だと言わなきゃいけない。でないとまた、あのベトナム戦争のようになってしまう。
そう彼女は考えて決心したんですよ。読んでいた憲法の本をパタッと閉じて議場に行って反対を表明したのです。
彼女がそこまで話した途端、その会場にいた200人がわーっと立ち上がったんです。みんな拍手してましたよ。
憲法にのっとった責任を果たす、その一点だけで考えた
その時、僕は一番後ろで聞いていたんですけど、思わず通路を走っていきましてですね、壇上の彼女に、にわかインタビューしたんです。こういうこと聞いたんです。
今の話でなぜあなたが反対の票を入れたかわかったけれども、ひとつ分からないのは、いくら自分が確信を持っていても、そこで反対の一票を入れるってなかなかできないことです。だって反対の一票を入れたらアメリカ中から非難罵倒があるのは解っているじゃないですか。現にあなたは非難罵倒されている。次の選挙では絶対とおらないと言われている。反対の一票を入れるということは自分で自分を不利な状況におくことだ。それが嫌で賛成の一票を入れた議員だっているはずです。でも、あなたはあえて反対の一票を入れた。これは人間としてとても勇気のある行動だと思う。あなたの勇気の源は何ですか。と、僕は聞いたんですよ。
そしたら彼女はこう言ったんです。自分はそんな優れた勇気のある人間ではありません。あの時わたしが考えたのは議員としての責任を果たす、憲法にのっとった責任を果たす、その一点だけで考えた。そしたらあの行動になった。それをそのまま果たしたわけです。こう言うんですよ。
そばに寄ってみると彼女は背が小さくて身長160センチもなかった。しかもやせているんです。華奢なんです。こんな人がアメリカ中を敵に回して一歩も引かずに戦っているのかと思うと、崇高な思いだったです。事実あの時はアメリカ中を敵に回していました。本当にアメリカ中から非難罵倒された。それでも彼女は一歩も引かなかったのです。
■変える人がいるから変わったのだ
その1年後、彼女の改選の時期が巡ってきました。僕は彼女は立候補しないものだと思っていた。立候補しちゃったんです。まぁ、当選するわけないじゃないですか。そう思っていたら投票の日になって、夜、票がどんどん入ってきました。それ見てびっくりしたのは、彼女勝っちゃったんです。勝ったどころか圧勝したんです。対立候補の4倍の票を取りました。びっくりしました。ほんの1年前にはアメリカ中から辞めろと言われていた人なんです。それが圧勝しちゃう。
その晩しみじみ思ったんです。人間って人生の中で孤立するってことあるじゃないですか。自分の考えが今の世の中の流れと違う。あるいは今の時期の社会の人々と考えが違う。そういう時、人間ってどうするか。普通よくあるのは長いものに巻かれろとか、今は妥協中だとか、今まあみんなの方に合わせようとか、やはり人間として弱い面が出ちゃうじゃないですか。でもそんなことしたら自分で自分が嫌になっちゃう。なんという自分は意気地がない人間なんだと、自分で落ち込んでしまう。
自分の人生で、そんなことがあったら、僕はその時このバーバラ・リーさんのことを思い起こそうと思ったのです。日本の中で、一人孤立するぐらいなんていうことはない。あのテロの直後に、アメリカ中2億人3億人を相手に回して、たった一人で闘った一人の女性がいた。それを思えば日本の社会で一人で少々孤立しようが何ということはないと思ったんです。
今アメリカは変わりました。テロの直後イラクをやれ戦争やれと言っていたのが、今イラクから撤兵しろと。さらにオバマ大統領が誕生しました。でも、変わったんじゃないですよ。変えたんです。変える人がいるから変わったんです。自然と変わったんじゃない。
■アメリカを変えた人たち
もちろんバーバラ・リーさんだけではない。
たとえば日系人でワタダ中尉という軍人がおります。あのイラク戦争に派遣されることを拒否して、自分から軍法会議にかけられた。あのイラク戦争を拒否した軍人は、最初の将校が彼なんです。日系人です。彼はこう言ったんです。
今のイラク戦争は法律に反している。なぜならば民間人を殺している。民間人を殺すような戦争には行かない。行ってはならないと言うのが正しい主張であると言ったのです。
これに対して軍はいろんな事を言った。これは大統領の命令だ、大統領が現地に行けと言っているんだ。
彼はこう反論しました。私は軍に入る時に忠誠を誓った。その時、忠誠を誓った相手は憲法である、大統領に忠誠を誓ったのではないと。おーっなかなかやるじゃん。こういう人が日系人の将校でいた。
こういう人が何人もいた。そういう力が今のアメリカを変えたんですよ。年月がたったから独りでに変わったのではない。アメリカを変える人がいたから変わったんです。
このアメリカ、オバマが誕生してすぐやったのはチェコのプラハです。反核宣言。核兵器を廃絶するという宣言でした。アメリカは広島と長崎に原爆を落とした。だから私たちには核兵器をなくす、廃絶する責任があると彼は言ったんです。それは言葉だけではない。現実になくす努力をしてきた。ロシアとの間で核兵器の条約を結んだじゃないですか。
ちゃんとアメリカの大統領は言ったらやるんです。言ってもやらない人とだいぶ違う。ちゃんとやってる人とやってない人を見るとだいぶ違う。なんか悲しいです。