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私の業界には、商売に失敗して何千万円もの借金を作ってしまった話がたくさん飛び込んでくる。商売だから、成功と失敗はつきものだ。日本で一番頭のいい人たちが集まって経営している一部上場企業だって失敗するのだから、能力の問題というよりは、ある程度は運の善し悪しだろう。
自分の財産で償えない場合は、破産の道を選ぶ。破産した人の代理人は、これで人生が終わるんじゃないから、借金を法的にきれいにして、もう一回頑張ろうよと励ます。しょせんゼニカネの話だ、命とてんびんに掛けるようなことじゃないよと。
破産する人はそれでいいが、じつは保証人がたまったものではない。ときどき、保証人から怒りの電話や手紙をもらうことがある。今日も一通届いた。
連帯保証していたばかりに貯金を金融機関に全額取り上げられてしまった人から、せつせつと助けを求める手紙が届いたのだ。
破産した主債務者を非難するのでなく、それは自分が保証したから仕方がないとあきらめているが、ぜいたくをしたわけでもなく、長年生活を切りつめてコツコツと貯めてきた老後の貯金、全財産を失いましたと書いてある。心細い暮らしをしている老夫婦で、貯金だけが万が一のときの支えだった。1円でも多く返してくださいと書いてあった。
読んでいて、本当に心が痛んだ。失敗した人を助けると、何の落ち度もない他の人が窮乏に陥るという、この「連帯保証人制度」はなんとかならんのだろうか。
金融機関は「人的担保」と称している。
非情な言葉だなあ。
くわしい人の話では、欧米にはこういう制度はないのだそうだ。近代資本主義の冷徹な経済システムと、陰湿なアジア的人質制度が合体して、より強力になった債権回収システムなんだそうだ。
連帯保証人に迷惑をかけたくないばかりに、主債務者も無理をする。もうからねえなあと感じた初期の段階であっさりと商売をたたんでいれば、損をするのは自分一人で済む話だ。保証人がついているばかりに、無理をして商売を維持しようとして借金を重ね、しまいには嘘までついて金を借りるようになる。にっちもさっちもいかなくなった頃は、借金が雪だるまみたいにふくれあがり、本人ばかりでなく金融機関も保証人も大被害を被るのだ。
誰一人悪人はいない。責任感が強い人ほど無理をして、深みにはまってしまうのだ。
新卒の皆さん、間違っても保証人のハンコをついてはいけないよ。祖父の遺言で固く禁じられているとか言って断るんだよ。
連帯保証人制度がなくても欧米の金融機関はちゃんとやっていけているのだから、日本の金融機関に同じ事ができないはずがない。悲劇ばかりを生み出すこんな制度を、いい加減にやめるべきだ。法律で規制しなければ、なくするのは難しいだろう。だがそんな公約をしてくれる候補者はいない……。