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放射性物質含む灰、埋め立て可能…環境省原案
読売新聞8月11日 01:38
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1703472&media_id=20
「放射能ガレキ」を大阪府下で受け入れる動きがあるようです。これを阻止しようと市民団体が動き始めています。「大阪府へ10μSv/年以上の震災ごみを持ち込まないこと」という、「放射能から子どもを守る会・高槻」の要望書が、MLで流れてきました。
私はこの意見に同意できません。「放射能ガレキ」を受け入れる決定を大阪府や兵庫県が下すならば、私は支持します。MLでこれを言うと荒れること必至なので自粛して（過剰な恐怖あおりについては、一般論として何度も意見を述べていますが）、こちらに書くことにします。
■ガレキを受け入れるべき5つの理由
理由1
被災地の復興のためにはガレキの処理が不可欠です。
理由2
大阪府の土壌が放射している自然放射線に比べれば、ガレキの放射線は無視できるほど少ないです。
理由3
「ガレキの放射線による健康被害」は幻の不安です。根拠のない不安を解消する目的だけで被災地復興の協力を拒むのは間違っています。
理由4
根拠のない不安をもたらす情宣活動は、風評被害を拡散し、被災地差別を助長するものだと思います。
理由5
すべてのガレキを放射性廃棄物として管理する必要はないし、またそうする財力など誰も持っていないのだから、必要もなくできもしない要求を持ち出すのは、結果として復興を妨げる役割しか果たさないと思います。
■危険性についての正しい認識
大阪府の自然放射線は0.049マイクロシーベルト/時です。
「放射能から子どもを守る会・高槻」がこれ以下のものしか持ち込むなと要求しておられる「10マイクロシーベルト/年」を時間当たりに換算すると、0.001マイクロシーベルト/時です。
この数値は自然放射線のたった2.24%。これ以下にせよとの要求は、ほとんど無茶ではないでしょうか。
原発事故さえなければ東北地方は自然放射線が低い地方であり、最低の秋田県は0.027マイクロシーベルト/時でした。大阪府の土壌はこの1.8倍の放射線をいつでも放射しているのです。そのホコリにまみれて、大阪人は暮らしているのです。放射線の増加を2.24%以上認めないという要求が通るなら、1.8倍の放射線を被曝しており、そのホコリを身につけた大阪府民は、東北全県から立入り禁止とされても文句は言えませんね。
しかし「0.5マイクロシーベルト/時なら自由に処分してもよい」という基準は、高すぎるではないかと反論されると思います。0.5マイクロシーベルト/時なら、年間の累積が4.4ミリシーベルトですから、平時に比べればたしかに高いと思います（＊編集注１）。
＊編集注1：
大阪府の平時の自然放射線＝0.049マイクロシーベルト/時×24×365=0.43ミリシーベルト
でも平時の基準というのは、「これ以上なら統計的に影響が観測される」という数値の100分の1以下に設定してあるので、その基準を10倍ぐらい超える汚染のまっただ中で暮らしたとしても、影響など、まず観測できないと思います。いまは緊急にガレキをどうにかしないといけないのですから、放射線の微々たる増量より、そちらが優先されるべきです。
だいいち持ち込まれるガレキの量は大阪府の土壌全部に比べれば無視できるほど極微量ですから、空間線量の増加などほとんど観測されないでしょう。内部被曝についても、そのガレキに埋もれて暮らすのならともかく、ガレキは周辺の生活環境からともかく隔離されているわけですし、環境中に漏れ出すものなど、たかが知れています。手に付いた細菌はゼロでなければ不潔だといって、1日に100回ぐらい殺菌する潔癖症患者がいるといいますが、「放射能から子どもを守る会・高槻」の主張はこれに似たところがあるのではないでしょうか。
毒物と放射線を対比させるのは適当ではありませんが、ひとつの目安として考えてみます。
放射線の半数致死量は3～5シーベルトだとされています。0.5マイクロシーベルトを100年間浴び続けても0.44シーベルトだから（＊編集注2）、半数致死量の10分の1です。
＊編集注2：
0.5マイクロシーベルト×24時間×365日×100年＝0.44シーベルト
これがどの程度に恐ろしいのか、食塩と比べてみます。食塩の半数致死量は体重60kgの人で約180gです。その10分の1の18gを怖いと言って遠ざける人がいるでしょうか。日本人の平均摂取量は約11～12g。焼き肉を食べに行ったりラーメンを食べるだけで、18gは軽く超えるんですよね。
大阪の75歳までの人のがんによる年間死亡率は、10万人あたり93.8人です。全国平均の84.4人より、9.4人多いです。
http://ganjoho.jp/professional/statistics/statistics.html#04
大阪府の人口は884万人。なので、日本の平均と比べて、毎年毎年800人以上も多くのがん死者を出しているのです。大阪って、危険地帯じゃないですか！
放射線被曝でこれだけの被害が出るには、100ミリシーベルトの被曝が必要です。でも、ガレキの中に上下左右とも埋もれて暮らしても、100年で0.44シーベルトしか被曝しないんです。大阪という環境は、排気ガスや人工の汚染物質その他でがん死が多いのに、これにはほとんど無頓着なくせに、放射線ばかりをこんなに気にするって、なんでしょう。
私には、反原発という政策目的のために、集団ヒステリーをあおっているとしか見えない。反原発という目的は正しいけれど、こういう運動がうまく行くようでは困ります。恐怖をあおり、判断力を低下させて人々を組織する手法は恐ろしいので、私たちは敏感になった方が良い。そうでないと、「ミサイル危機」やら「尖閣諸島危機」のアジテーションにホイホイとついて行ってしまう市民を養成しているようなことにもなりかねませんから。