ガザの戦争

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何もできない無力感というのが、ガザの戦争を考えるときについてまわります。本当になんにもできないなあ。イスラエルみたいな国にはデモも何も効果がないだろうし。

■ガザをイメージする

ガザってどんなところか、直感的に理解するために考えてみました。

ガザ地区は地中海沿岸にあり、南西から北東にかけて海岸線が走っています。日本で地形的に近いのは、大阪市南部から泉南市までの瀬戸内海沿岸ですね。堺市(83万人)、高石市(6万人)、和泉市(18万人)、岸和田市(20万人)、貝塚市(9万人)、泉佐野市(10万人)、泉南市(7万人)、紀ノ川市(7万人)を合わせたぐらいの地域です。幅約6~10㎞の細長い地帯というのも似ています。ここの地域人口は160万人。ガザ地区は約150万人といいますから、人口密度も似ています。

ほとんどの国境線をイスラエル領土に囲まれていて、ここは封鎖されています。西南部だけがエジプトに接していますが、ここも封鎖されていて、かろうじて地下トンネルで物資を補給できていました。しかし何百本もあると言われている、人力だけで掘られた小さなこのトンネルも、空爆の標的とされて崩されています。空からの監視だけで見つけられないトンネルを爆破するため、イスラエル軍は南部にも侵攻しています。ハマスがここを防御していないなら全部崩されるのは時間の問題でしょうが、南部の戦況が伝えられていないので詳細がわかりません。

泉北工業地帯と泉南繊維産業地帯の160万人が食べるためにどれほどの経済規模と物資が必要かを考えれば、イスラエルによって完全に経済封鎖されているガザの困窮がどういうものか、それもイメージしやすいかも知れないです。ガザ地域の人たちはイスラエルによってじわじわと死滅させられているわけです。ガザは強制収容所と化しているのです。世界はそのことに無関心です。今回のような騒ぎが起こらなければ。

■戦争の原因 直接的原因と根本的原因

直接原因はハマスの挑発。根本原因はイスラエルの占領。

今回の戦争の性格は2つあるように見えます。

ひとつはガザの自治政府(ハマス)が世界に自分たちの存在とイスラエルの経済封鎖の不当な現実をアピールする手段です。その目的はかなり達成されました。

つぎに、独立に向けた彼らの戦略だという側面があります。イスラエルの地上攻撃を誘発する手段だということです。これが戦争の直接原因です。この目的も達成されました。この点につき、私の考えを書きます。

ハマスにとって、イスラエルとの対決は自己の存在理由ですが、ハマスがイスラエル軍に勝てる道理はありません。それはハマスも承知のうえでしょう。経済的にも武力的にも太刀打ちできないハマスが独立のためにとれる手段には限りがあります。それが軍事的には何の意味もないロケット攻撃です。これはハマスとの対決を不可避にするためのイスラエルに対する挑発です。

イスラエル軍がハマスを壊滅させようとすると地上戦が必要ですが、これはイスラエル兵が多数の一般市民を直接殺害する戦争にならざるを得ません。一般市民をも巻き込んで戦いを泥沼に持ち込み、ガザを維持するためにはイスラエルが膨大な財政と血を浪費せざるを得ない現実を思い知らせる、これがハマスの戦略だと思います。残酷で非人道的な戦略ですが、イスラエルにガザを放棄させる手段としてはそれしかないのも事実です。戦争の直接原因がハマスの挑発なのは明らかで、この点を否定することはできません。

しかし根本的な原因は国際合意に反したイスラエルの占領です。ハマスの戦略を支持するわけにはいきませんが、こんな戦争に追い込んだイスラエルのやり口こそ、もっとも非難すべきだと思います。

■戦争をやめさせるために何ができるのか

戦争の帰趨ですが、そのキーは3つあると思います。

  1. 大量の市民を殺戮する残酷な市街戦にイスラエルが耐えることができるかどうか。
  2. ハマスがレバノンのヒズボラのように頑強に抵抗できるかどうか。
  3. ガザの民心をハマスが掌握できるかどうか。

いずれについても私たちにできることはないようです。せめてイスラエル製品を買わないことで不支持を表明することにしたいと思いますが。スターバックスは使わない、コカ・コーラやネスレのコーヒーを飲まない・・・こんなことしかできないのかなあ。