ソマリアの海賊がますます激増している

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国際海事局(IMB)は7月15日、2009年上半期(1月1日~6月30日)に世界で起きた海賊行為と船舶に対する武装強盗事案に関する報告書を公表しました。

海洋政策研究財団発行「海洋安全保障情報」
*http://www.sof.or.jp/jp/monthly/pdf/200907.pdf#page=21

世界中で通報された海賊事案の半数がソマリア海賊によるものでした。ソマリアでは海軍艦艇による警護にもかかわらず、襲撃が増えており、しかも海域がケニア沖、タンザニア沖、セイシェル沖、マダガスカル沖にまで拡大しているということです。

ソマリアの海賊による被害は撃退されて未遂に終わったものを含めて148件。昨年同期の5倍です。その内30隻がハイジャックされ、495人の乗組員が人質となりました。6月末現在、依然11隻が拘留され、178人が人質になっていると見られるそうです。

海賊対策は戦争ではないので、軍隊の機能が発揮されません。戦争ならば交戦者はお互いに打撃力を有効に発揮するために、戦力を集中させます。その集中された戦力に対して攻撃を加え、粉砕するのが軍隊に求められる機能です。

だから集中より分散が得意なゲリラ相手の戦いに近代軍は苦戦するのです。ゲリラはまだしも立ち向かってきますが、海賊はゲリラではないので、立ち向かってくることもありません。分散し、戦わずに逃げる相手に対して有効な取り締まり手段を、軍隊は持っていません。

いま各国が取っている方法は、たんぼに群がるスズメの大群に大砲をぶっ放しているようなものです。スズメは蜘蛛の子を散らすように逃げてしまい、大砲のいないところでたんぼを荒らすでしょう。

最近6年間の各年上半期における件数の推移

海域 2009 2008 2007 2006 2005 2004
アデン湾・紅海 100* 19 7 9 4 4
ソマリア 44 5 17 8 8 1

他にアラビア海1件、インド洋1件、オマーン2件でソマリアの海賊による被害が出ています。
*注:アデン湾86件、紅海14件