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高校生には今の社会を牛耳っている強者側・権力者側の本音が少し分かっただろうから、それが収穫と言えば言えるかも知れない。橋下を論破できなかった悔しさを糧に、うんと勉強して、こいつらを凌駕できる論理性を身につけてほしいと思う。
大阪・橋下知事、私学助成金削減めぐり高校生と意見交換会
「日本は自己責任が原則」
FNN 10/24 19:19大阪府の橋下 徹知事が23日、地元高校生と私学への助成金削減プランをめぐり、意見交換会を行った。
橋下知事と高校生の意見交換会は大激論となった。
激論のきっかけは、財政再建を進める橋下知事が決めた私学への助成金28億円の削減プランだった。
23日夕方、これに反対する「大阪の高校生に笑顔を下さいの会」の12人が府庁を訪れ、橋下知事に直談判した。
意見交換会は、橋下知事の「単なる子どもたちのたわ言みたいにならないように、僕もかなり厳しくそこは反論していくので、そこはしっかり、きょうは議論したいと思いますので、よろしくお願いします」という宣戦布告で始まった。高校生は「私立にしか行けなかったんです。家は決して裕福ではなく、父親は中学3年生の時にリストラにあいました。橋下知事は『子どもが笑う大阪に』とおっしゃっていましたが、わたしたちは苦しめられています。笑えません」、「僕は今、私立の高校に通っているんですけど、僕の家は母子家庭で、決して裕福ではなくて、僕はそんな母をこれ以上苦しめたくないので、私学助成援助を減らさないでください」と窮状を訴えた。
これに対し、橋下知事が「なぜ、公立を選ばなかったんだろう?」と質問し、「公立に入ったとしても、勉強についていけるかどうかわからないと(教師)に言われて」と高校生が答えると、「追いつこうと思えば公立に入ってもね、自分自身で追いつく努力をやれる話ではあるよね。いいものを選べば、いい値段がかかってくる」と反論した。
この橋下知事の答えに、「だから、『そこ(私立)にしか行けない』って(教師に)言われたんですよ」と泣き出す高校生の姿も見られた。さらに、別の高校生が「大阪の財政を良くすることは、わたしたちが苦しむことなんですか?」、「ちゃんと税金取っているなら、教育、医療、福祉に使うべきです。アメリカ軍とかに使ってる金の余裕があるのなら、ちゃんとこっち(教育)に金を回すべきです」と涙ながらに訴えると、橋下知事は「じゃあ、あなたが政治家になってそういう活動をやってください」と切り捨てた。
さらに高校生が「それは、わたしが政治家になってすることじゃないはずです」、「高速道路なんか、正味あんなたくさんいらないと思います」と税金に無駄遣いがあると指摘すると、橋下知事は「それは、あなたがそう判断しているだけで、わたしは必要な道路は必要だと思っている」と反論し、一歩も引かなかった。
そして、橋下知事は高校生たちに「皆さんが完全に保護されるのは義務教育まで。高校になったらもう、そこから壁が始まってくる。大学になったらもう定員。社会人になっても定員。先生だって、定員をくぐり抜けてきているんですよ。それが世の中の仕組み」と社会の厳しさについて語った。
この発言に、高校生から「世の中の仕組みがおかしいんじゃないですか?」と意見が出ると、橋下知事は「僕はおかしいとは思わない。やっぱり16(歳)からは壁にぶつかって、ぶつかって」と反論、「そこで倒れた子には?」との質問には、「最後のところを救うのが今の世の中。生活保護制度がちゃんとある」、「今の世の中は、自己責任がまず原則ですよ。誰も救ってくれない」と語った。
さらに、高校生から「それはおかしいです!」と意見が出ると、橋下知事は「それはじゃあ、国を変えるか、この自己責任を求められる日本から出るしかない」と反論した。
高校生との意見交換は予定されていた20分を大幅に超え、1時間半にも及んだ。橋下知事は再度、意見交換会を行うことを約束し、終了した。
議論を終えた生徒たちは「悔しいです」、「傷ついている人たちの気持ちなんて、まったくわかってくれてないという感じで」、「結局、自分が悪いみたいな感じで言っていたので、腹が立ちました」などと話し、生徒同士で「勉強せなあかん。負けてたらあかんで。悔しいからな、勉強していろんなこと知らなきゃあかん」と語り合っていた。
一方、橋下知事は「子ども扱いはしません。義務教育終わっているので」、「高校生の皆さんも言いたいことは山ほどあるだろうし、ああいう形で政治的な意見を持っているのは立派なんじゃないですかね」と意見交換会の感想を語った。
う~ん、色字の発言がすべてを言い尽くしているから何も言うまいと思ったけど、やはり一言いいたいなあ。
さて、この対話で判明したのは、橋下は法曹でありながら憲法も教育基本法も理解していないことです。
>「なぜ、公立を選ばなかったんだろう?」
>「いいものを選べば、いい値段がかかってくる」
>「じゃあ、あなたが政治家になってそういう活動をやってください」
>「最後のところを救うのが今の世の中。生活保護制度がちゃんとある」
>「今の世の中は、自己責任がまず原則ですよ。誰も救ってくれない」
違います。教育においては、“いいものを選べば、いい値段がかかってくる”ようではいけないんです。そうならないようにするのが、橋下さん、あなたの行うべき義務なんです。
教育基本法第4条
すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
「能力に応じて」だから学校の成績レベルに差ができるのは仕方がないとしても、すべての国民は、経済的地位によって教育を受ける機会が奪われてはならないんです。これは憲法にその根拠を有しています。
日本国憲法第26条
すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。
教育の機会均等は基本的人権なんです。命がお金で売り買いできないのと同じく、教育も原則としてお金に左右されてはならないものなのです。
「成績を上げて公立へ行け」までは、まだ正しいと言えるでしょう。しかし「公立へ行けない能力で、しかも金がないならあきらめろ」というのは間違いです。そんな思想は六法全書のどこをひっくり返しても出てきません。何とかしてくれという生徒たちの要求こそが正しいんです。これは憲法の要請なんです。
ましてや、落ちこぼれて社会の底辺にまで転落したら生活保護で面倒みてやるとでも言いたげなセリフは全くの間違いです。教育を施すのは行政の責務だからです。
教育基本法第3条
国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。
教育基本法第16条
4 国及び地方公共団体は、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、必要な財政上の措置を講じなければならない。
教育は自己責任だなどと、どこに書いてあるでしょうか。どこにも書いてありません。大阪府知事橋下さんは、教育が円滑かつ継続的に実施されるよう、“必要な財政上の措置を講じなければならない”義務を負っているんです。
>「高速道路なんか、正味あんなたくさんいらないと思います」と税金に無駄遣いがあると指摘すると、
>橋下知事は「それは、あなたがそう判断しているだけで、わたしは必要な道路は必要だと思っている」と反論し、一歩も引かなかった。
これは論点の縮小若しくはすり替えです。本題は高校生の「教育予算を増やしてください」または「教育予算を増やせるはずです」という主張であって、そのための対話でしょう。
「高速道路なんか、正味あんなたくさんいらないと思います」というのは、「教育予算を増やしてください」または「教育予算を増やせるはずです」という意見の根拠を例示として述べているのです。これに対して「それは、あなたがそう判断しているだけで、わたしは必要な道路は必要だと思っている」というのは何の反論にもなっていない。「道路が必要だ」という意見は、「教育予算は増やせない」という結論に必ずしも直結しないからです。道路は必要かも知れませんが、だからと言ってそれで教育予算を減らして良いことにはならないからです。
知事として答えなければならなかったのは、別のことです。憲法が要請し、教育基本法が義務として定めており、私学助成法でその根拠が与えられている、教育の機会均等と教育の振興とそのための財政的措置。それを大阪府が守らなくてもよいという根拠です。憲法なんか知らないよと言いたいなら、その意見の立脚点です。教育基本法を無視して良いと言えるなら、その準拠です。子どもたちの教育を受けたいという願いを踏みにじってもよいと言える理由です。橋下知事はついに一言もそこを答えていません。
高校生にここまで突っ込んで質問せよというのは無理な話です。そもそも、そんなことを突っ込まれるようでは知事として失格ですし。知識も社会経験も隔絶した相手に対して、憲法や教育基本法に基づかないどころか完全にそれに背いている珍論を並べ立ててとくとくとしている、これが大阪府のトップなのかと思うと、本当に、つくづく情けなくなります。