普天間の二の舞では?思いつきでないことを祈る

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日本版GPS、衛星7機体制へ…精度10倍に
読売新聞2011/1/5 03:03
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スーパー301条をどうやってクリアするんかな。

アメリカの包括貿易法「スーパー301条」とは、アメリカに都合の悪い貿易品目に対して「不公正」だとか何とか文句をつけて、関税を上げたりできる法律です。「不公正」というのは、たとえば「アメリカはそんなに安く作れないのに、他国が安く作っているのが不公正」ということです。要は、アメリカが競争に負けそうになると、税金をかけて国内産業を保護する、とんでもなくジコチューな法律です。

アメリカはこいつを武器に、日本に対して、「衛星」、「スーパーコンピューター」、「農林産物」の市場を開放せいと言いました。1989年のことです。開放しなければ日本製の半導体にスーパー301を適用するぞ、と脅したんです。

じつはそんなことができるはずはなかったんですが。だって当時の米国コンピュータは、100%日本製半導体を使っていたのですから、301条を発動して関税を上げれば、米国製コンピュータが国際市場の価格競争で負けてしまったでしょう。

ところが、自民党政府は簡単に市場開放に応じてしまいました。自民党政治家は、ことの重大性をまったくわかっていませんでした。貧乏な開発費をやりくりして、いよいよ技術的にアメリカに追いついて通信衛星を打ち上げようかというところまできていた日本の宇宙開発は、これで息の根を止められました。だって実用衛星を打ち上げようにも、国際入札しなければならなくなったのですから、先行する米国衛星企業に太刀打ちできるはずがありません。これで日本の衛星ビジネスは死にました。

以来、日本はただの一機も実用衛星を打ち上げていません。実用気象衛星「きく1号」はアメリカ製を買っています。技術的には世界の最先端をいけたのに、自民党が米国の腰巾着だったばかりに、有望な市場をみすみす失ってしまったのです。

これにはまだ続きがあります。

実用衛星を打ち上げられない日本の科学技術陣にとって、できることは研究開発・実験衛星を打ち上げることだけです。当然、もうかりません。自民党政府と経団連は、唯一のユーザーとしての立場を利用して、予算がほしければ、宇宙開発技術陣は考えを改めろと迫ったのです。

何を改めるのか。すなわち「1969年平和利用決議」を捨てろと迫ったのです。軍事技術開発に協力せよと。

宇宙の平和利用は日本の航空宇宙開発技術陣の夢でした。背骨となる思想でもありました。しかしカネがなければ技術開発ができません。カネか、夢か、二者択一を迫られ、いまも日本の技術者は揺れています。衛星ビジネスが成功していれば、こんな苦労はなかったに違いありません。先端技術を詰め込んだ、安くて性能のいい衛星を世界に売り込んで、日本の衛星産業は政府のひも付きではないものに飛躍していただろうに……。

さて、民主党政府は、スーパー301をどうやってクリアするつもりなのでしょうか。やっぱりダメだったと、辺野古みたいにアメリカに屈服するのでしょうか。国際入札でアメリカの衛星を買うのでしょうか。よいニュースだけど、手放しで喜べないニュースです。