原発支持唯一の根拠「経済性」に根拠なし(ネトウヨの絡みに答える)

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原発を巡るネトウヨとのやりとり。
長いからぼちぼち読んでください。

■どろ発
  • 中部電力が黒字に転換。
  • 原発なくても電気は足りてる。
  • 原発なくても利潤も足りてる。
  • 足りないのは政府の決断だけ。
■ネトウヨの反応
  • 原発停止に伴う火力の追加燃料代は年3兆円を超える。
  • 今後も動かさないのであれば、戦乱とか起こらずとも何十兆円もの追加負担。
  • そういう現実を無視する補給低能が無責任な事を言うな。
  • 稼働すればするほど原発は安上がりになるのに対し、LNG火力などは稼働すればするほどコスト高になる傾向にある。
  • 火力は燃料を焚き続けなければならず、兵站面からも不利。
  • 資金的にも、輸送面でも補給途絶の心配が残る。
  • 「今大丈夫だから」は、脱原発の未来を保証しない。
  • 経済産業省が2012年は3.1兆円の燃料コスト増、2013年は推計3.8兆円増と試算しているぞ。
■どろの反論

では原発停止と火力燃料の輸入増加の影響がどの程度なのか、データをもとに確かめよう。
怪しげな資料は使わない。

「火力発電への依存と急増する燃料費ー東日本大震災後の電力供給」
縄田康光(経済産業委員会調査室)
『経済のプリズム』(No.119 2013年10月 参議院発行)所収
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h25pdf/201311901.pdf

燃料原価について同論文はこう記している。

(輸入額は)9社計では、2010 年度の3兆6,203 億円から 2011 年度には5兆8,999 億円、2012 年度には7兆285 億円と、ほぼ倍増している。(P.13-14)

このコスト増は、すべてが輸入増に由来するものではない。
同書を引用する。

2010年度は概ねトン当たり5万円前後となっていた。しかし、東日本大震災後、LNG価格は上昇を続け、2013 年度に入ってからは8万円を超える水準が続いている。この背景としては、東日本大震災後の需給の逼迫、原油価格の上昇、さらに最近の円安傾向があるものと考えられる。(P.6-7)

輸入原価が6割も上がっているのだ。原油価格の値上がりと、アベノミクスによる円安が燃料費高騰の一原因だという。すると原発を止めていなくても、火力発電のコストは上がっていたわけだ。

単価が6割増なら、2010 年度の輸入額3兆6千億円は、2012年には5兆8千億円になっていたはずだ。現実の輸入額は7兆円だから、差額約1兆2千億円が、輸入増のせいということになる。3兆8千億円も増えたなんて、話を盛りすぎではないか。

しかも増えた1兆2千億円も、安倍さんが政策誘導して引き起こした円安などで値上がりした金額だから、それがなければ6割安い7,500億円の輸入増でまかなえたはずだ。経産省はこの仮説を支持している。別の資料で、燃料費増加のうち、輸入量増加に起因する割合は2割程度と正直に分析しているのだ。

『産業活動分析(平成23年年間回顧)』
経済産業省大臣官房調査統計グループ
http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/bunseki/pdf/h23/h4a1203j4.pdf
P112 「第Ⅱ-3-19図 鉱物性燃料の品目別の輸入額の要因分解」参照

ところで推進派は原発の利点が燃料費ぐらいしかないから盛んにそのことをいう。が、いくらコストが安くても、それは今だけの話だ。推進派はMOX燃料について黙っているので、説明しておく。

使用済み燃料の処分ができない以上、溜まる一方の保管コストがウナギのぼりに増えていく。このままではやっていけないので、高速増殖炉で燃やして使用済み燃料を減らそうとしたが、 事故ばかりで全く動かすことができない。運転再開のめどすら立たない。

そこで急場しのぎの対策として、使用済み燃料を混ぜたMOX燃料を燃やすことで取り繕っている。

MOX燃料の値段は、1kg当たり5500ドル以上。
福島第一原発3号機で燃やしていたMOX燃料が、年間94トンだ。
100万kw足らずの発電で、年間5億1,700万ドル。
約500億円にものぼる。

MOX燃料は、火力よりはるかに高くつくではないか。だが燃料費の安い軽水炉を動かせば動かすほど、バカ高いMOX燃料も燃やさなくてはならない。原発を止めなければ、今後ますます、なにをやっているのか訳の分からないことになる。

東電の見通しでは、去年あたりからウランの受給が逼迫して値上がりするはずだった。大口顧客の日本が事故を起こしたので需要が一息ついているようだが、再稼働すれば値上がり必至だ。
2倍に跳ね上がるという予測もある。

危ないけどコストが低いというのが、原発のただ一つの売りだった。コストが大して変わらないなら、危ない原発なんかいらない。仮に事故がなかったとしても、どのような面から見ても、原発の将来性はゼロなのだ。