消費税を上げなければ財政が破綻するというのは本当か

http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1883592859&owner_id=12631570

消費税を上げなければ財政が持たないという考えが「常識」のように蔓延しているのは困ったものです。その考えは大誤解です。

■消費税は大企業減税資金である

まず、消費税を導入して以来、税収が財政再建に使われたことは一度もありません。社会保障に使われたこともありません。消費税は一貫して大企業減税のために使われたのが実態です。

導入以来20年間の消費税による税収は224兆円。この間、つぎつぎに下げられた法人税率による税収の低下が208兆円です。余りの12兆円は個人所得税の累進制が緩和された事による大金持ち減税の穴埋めに消えました。
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:6Abr3WZThaEJ:www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-06-20/2010062002_01_1.html+&cd=3&hl=ja&ct=clnk&gl=jp

この減税分を、せめて半分でも元に戻せば、消費税をあげる必要はなくなるのです。

■法人税収の低下は不景気だからではない

2001年から企業収益は大幅に改善しています。
2001年から収益がうなぎ登りであることが分かります。
http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/4610.html

財務省が出している「法人企業統計年報」の数字を拾っても、2001年からの7年間だで総資産の伸び率は110%以上、利益剰余金は140%近くに達するそうです。
同じ時期、株主配当金は335.3%の増加、役員給与・賞与は132.4%の増加だと言います。
http://webcache.googleusercontent.com/search?q=cache:X9I2AL07x2YJ:ww2.et.tiki.ne.jp/~u8392surm/page047.html+&cd=5&hl=ja&ct=clnk&gl=jp

2009年度「法人企業統計年報」
http://www.mof.go.jp/pri/publication/zaikin_geppo/hyou/g702/all_702.pdf

儲かっていなければこんなことになるはずがありません。

ではどうして税収が落ち込んでいるかといえば、法人税の減税が原因です。法人税はかつて40%でしたが、段階的に引き下げられて、1999年からは30%です。

しかし税金は税率だけで決まりません。これこれのもうけ分に税金を掛けないという決定が国会の同意(主に自民・民主・公明の賛成)を得て拡大されています。そこで、実際の課税率は2011年で24.7%しかないのです。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-07-29/2012072901_01_1.html

■法人税を下げなければ国際競争力が下がるのか

企業の租税負担には、所得税などの税金と、社会保障負担の税金があります。国立国会図書館のブリーフ「社会保険料の事業主負担」に、つぎのように記してあります。

事業主負担が国際競争力にマイナスに働くという経済団体の懸念はあるが、国際的に見ると我が国より負担が重い国も多い。

我が国の事業主の社会保険料負担割合は、イギリス、カナダ、アメリカよりは高いものの、フランス、ドイツといった欧州大陸諸国やスウェーデンに比べれば低いことがわかる。

社会保険料負担の割合は必ずしも(日本のように)労使折半ではなく、フランス、イタリア、スウェーデンは被用者に比べ事業主の負担が相当高くなっている。

社会保険料の事業主負担 p8より
国立国会図書館 ISSUE BRIEF NUMBER 652(2009.10.27.)
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/issue/0652.pdf

なにも日本の企業が外国に比べて高い税負担を強制されているのではないし、日本よりも高い税金を負担しながら国際競争力を維持している国はいくらでもあるのです。
また、日本の企業が高くもない税金に耐えられないほど体力がないのかといえば、必ずしもそうは言えないことが、統計に表れています。
経済産業省「公的負担と企業行動に関するアンケート調査」では、税金と社会保障負担が企業にどのくらい影響を与えているのか、経営者アンケートをとっています。

・「深刻な影響を与えている」とする企業:6%
・「影響していない」とする企業:30%
・「ある程度はマイナスの影響を受けている」とする企業:39%

ある程度のマイナスの影響は当たり前のことなので、こんな回答は「言ってみただけ」でしょう。すると69%もの企業が、そんなに影響がないと考えているのです。

■国民の税負担割合

企業に引き替え、所得税と社会保障負担を合わせた個人の租税直接負担は、中間階層ではとっくに3割を超えています。三公七民です。低所得階層だと4割に達します。四公六民です。

これに加えて消費税を10%にしたら一体どうなるのでしょうか。五公五民なんて江戸時代なら一揆もんです。

なにも企業に無茶を要求するのではありません。

資本金10億円の中堅企業と100億円以上の巨大企業を比べれば、10億円の企業が20%以上の租税負担をしているのに対し、100億円以上の企業は15~16%しか負担していません。巨大企業にせめて中堅企業並みの税負担をさせれば、消費税を上げなくても財政再建は可能です。

労働者の賃金が下がり続けているのに、株主配当金は335.3%の増加、役員給与・賞与は132.4%の増加。そんな体力があるのなら、苦しい国を助けてくれても罰はあたらないと思います。